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Channel: 団塊Jrのプロレスファン列伝
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僕が僕であるために

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どうも!!流星仮面二世です!!

さて、近年のプロレス人気の上昇はみなさん知っての通りですが、この人気の影響力をプロレス会場やネット以外のところで感じたことは、みなさんあるでしょうか?今日は身近に感じたプロレスの浸透力、そしてそれにより自身が思った、感じたことをお話したいと思います。

現在ボクが働いている会社には請負業、いわゆる下請け会社が何社か入っていますが、近年、そこで労働力として頼りにされているのが外国人労働者です。

厚生労働省によればは、昨年2017年10月末時点で外国人労働者数は127万8670人に及び、前年同期からは18%増にして5年連続の増加。そしてこの10年で過去最高を記録しているそうです。現在の日本における様々な職種の様々な職場で起きる人手不足の問題。この問題を外国人で補うという形は実に強まっていて、今後も増えて行きそうな感じです。

そんな、今や頼みの綱とも言える外国人労働者の国は中国、ベトナム、フィリピン、ブラジル、ミャンマーなどが多いようです。そんな中、スリランカから日本へ来ているヂャグァ(仮名)は、今年の1月から塗装の工程に配属され働いています。

身長は180センチのボクより大きく、ややアンコ型な体の厚みもなかなかの、かなりの大型です。髪はなくスキンヘッドですが、しかしその風貌にしてなんともかわいらしい顔をしています。そしてそのギャップにして、片言だが愛らしい、優しい日本語で、ゆっくり丁寧に話す様は親しみやすさに満ちあふれています。

しかし、雀百まで躍り忘れずとは言ったもの。ジャグァを見ているとプロレスファンとして積み重ねられた、ファンならではの条件反射が無意識のうちに炸裂してしまうのです。

プロレスファンには性(サガ)があります。

そんなプロレスファンの性(サガ)のひとつに

"外国人を見るとプロレスラーに位置付けてしまう"

というものがあります。

今でこそ日本にはたくさんの外国人の方が住んでいますが、ボクが小学生、中学生の頃、特に田舎に住んでいたなら外国人を見かけることなんてほとんど皆無でした。

外国人は映画やテレビの中の存在でした。だから子供の頃、観光地などで偶然目にする外国人は本当に珍しいものでした。日本語でない言葉で話しては、その背の高さ、体の大きさに圧倒され、本当に驚かされたものでした。

で、思いました。プロレスラーみたいだなぁと・・・

当時、テレビでは西部劇ならファンクスやハンセン、インディアンならマクダニエル、ヤングブラッド、中東ならシーク、南アジアならジェットシンなんて重ねていたものでしたが、テレビとはちがう生の外国人を見ると、先に上げたようなオーソドックスな重ね方はなくなり、かなりのリアリティー趣向になったものでした。

たとえば家族で観光に来た、ちょっとだけ太めのお父さんはボビー・ヒーナンに似てるなぁ~。このゴツめで長身の黒人はアーニー・ラッドみたいだ。ちょっとウェーブした金髪のロングヘアーのお姉さんならベルベット・マッキンタイヤーみたいに素敵だな・・・なんて、まあ、そんな感じで勝手に連想しては自分の中で盛り上がったんですね。

そして現在。今だ心の奥底に生きるボクの性(サガ)は、このジャグァをプロレスラーへと位置付けてしまった・・・いや、正確には位置づけなんてものじゃなく、そっくり。あまりにもそっくりなその容姿に、初めて見たその日から一目惚れしてしまったような、まさしく雷に打たれたような衝撃を受けてしまったのです。

ジャグァは、クレイジー・レロイ・ブラウンにそっくりだったんです・・・

クレイジー・レロイ・ブラウン

世の中に数名はいると言われている自分にそっくりな人。近年はネットなどを利用し、自分にそっくりな人を捜して当人同士が会って交友を深めたりすることもあるそうですが、しかし・・・そのレベルは驚愕。これほど似ている人が世の中にいるのだろうか!?輪廻転生、永劫回帰。これは前世がレロイ・ブラウンだったにちがいない!!ボクの中でジャグァは完全にレロイ・ブラウンになっていたのです。

そんなジャグァ。日々の仕事では、自身の扱っている部材が仕上がると、それを運ぶ後工程のボクのところに電話をしてきます。

「オハヨウゴザイマス。エ~、オワリデスネ」

「ジャグァデスネ。オワリデスネ。アリガトウ」

「アツイデスネ~」

その声はMCハマーをスイーツにしたような柔らかさ・・・思わず癒しすら感じてしまいます。優しい見た目、丁寧な接し方。ジャグァは自分の国でも多くの人に好かれていた存在だったのだと感じずにはいられません。本当にいい人です。

でも、ボクの中ではレロイ・ブラウンであるが故、どうしてもプロレスファンとして脳内変換が成されてしまいます。ジャグァもアメフト出身なのかな?学生時代は、やっぱりブッチャー二世って呼ばれてたのかな?休憩時間にはビール瓶で頭を叩かせるのかな?で、瓶は割れないで流血したことあるのかな?友達にはレイ・キャンディに似ている人がいるのかな?

お出かけには迷彩服とか着るのかな・・・

と、同じ日々を送っては、夢も希望もあった若かりし頃を思い出し黄昏てしまう毎日に、ほのかな楽しみすら見出すことができました。そしてそのうち誰かにジャグァのこと教えてあげたい、話したいぃぃー!!と思うようになりました。

家に帰り

「会社にクレイジー・レロイ・ブラウンそっくりな外国人が入ったんだよ」

と話してみました。しかし嫁も三世も

「・・・!?」

「誰!?」

反応は薄いものでした。

でも、それでもいいと思いました。昔のレスラーだし、なによりボクの密かな楽しみには変わりはないからです。こうして、気がつくとボクはジャグァのことばかり考えていました。それは恋・・・だったのかもしれません。

しかしある日。ジャグァと同じ職場の人や、ボクと同じくジャグァの後工程の人が話をしているのに、ボクは我が耳を疑いました。

「外国人いっぱい入って、仕事キツいから辞めちゃったのもいるけど、残った人はよく働くね。ファレちゃんとか」

そうですね~。ヘタな日本人よりもよく働き・・・へ!?

ファレちゃん!?

何ですかそれは!?

「あ~、ジャグァのことウチらファレちゃんって呼んでるんだよ。似てるでしょ~」

似てる!?

それはジ・アンダーボスに似てるということ!?

いや・・・確かにファレっ"ぽい"点はあるが、似てるというレベルで言えばどう考えてもレロイ・ブラウンだ。言おうかとも思った。しかし、ここでふと我に返る。いや、ここでおれが「いやぁ、ファレよりレロイ・ブラウンの方が似てますよ~」と言ったところで・・・はたして何がどうなる?

そう、その職場を見渡せば、親子でプロレスファン、兄弟でプロレスファンという面々でした。茨城に新日本が来たときに会場で出会い、会社内では話したことなかったのに、あれ~プロレス好きなんすか~という会話した人もいました。そんな、現在のプロレスを見ている人たちのリアルタイムなリアルな性(サガ)から出てきた言葉こそ、レロイ・ブラウンではなくファレちゃんだったのです。

ボクはその日、家に帰り家族にジャグァの話をしてみました。そう、以前したレロイ・ブラウンの話は一切置いておいてです。

「会社にバッドラック・ファレそっくりな外国人が入ったんだよ」

「へぇー見てみたいね」

「バッドラックフォールとかやるのかな~」

そうか、やっぱりそうだよなぁ・・・

嫁は100円ショップでパートをしています。最近はお客さんで、新日本のTシャツを着てくる方が結構いるそうで、嫁は思わず話しかけてしまうそうなんです。それは中学生くらいの子がオカダや棚橋のシールを捜して来たり、あるいは家族で新日本Tシャツで、家族で好きという家だったり・・・それはそれはプロレスに熱中しているようなお話でした。中にはボクらより年上の、かなり年配の方もいて、これは昔からベテランファンと思いきや、誰のファンというわけではないけど今の新日本の戦いや流れ全体が好きで見ているんだと・・・そういう方もいたそうです。

8月、G1の決勝戦の翌日。息子の三世がファイヤープロレスリングを買うというので買いに行きました。三世がゲームを買っている間、ボクは2月に買いそびれてしまったG SPIRITS ARCHIVES vol.1の初代タイガーマスクが、なぜか売っていたのでそれを買い読んでいたのですが、なかなか三世が帰ってきません。どうしたのかな?

あとで聞くと、三世がファイプロをレジに出したところ、そこの女性店員さんからプロレス好きなんですか?と話しかけられ、前日のG1を観てて、私は飯伏を応援していたんですが、どっちを応援していたんですか?とか、試合内容はどう思ったかなど、お互いの思うところを話していたそうなんです。

似てると認識されたファレちゃん。普段からプロレスのTシャツを着ている家族。そしてプロレス好きの店員・・・それは、ボクがこのブログを始めた10年前にはありえないこと、ありえない現象でした。しかしテレビやネットだけでなくプロレス会場でもない、身近なところにプロレスが浸透している現実があるんだなぁと・・・そう肌身に感じました。

そして同時に思いました。

ボクはプロレスファンです。でも今、近年のプロレスが好き、プロレスファンという人が目の前に現れたら、はたして何のプロレス話ができるんだろうか?もし近年のプロレスファンが5人いたとして、ボクもプロレスファンです!と輪に入っていったとしたら、はたしてどれだけの会話を持つことができるだろうか?と・・・

ザンビア・エキスプレスはわからないがバレットクラブはもちろん知っている。年配の方がオールドファンとも限らなかった。そして・・・初代タイガーマスクの本には何も反応しなかったが、新日本のゲームのファイプロには反応があった。

そんなファンを前に、ボクは一体どんなプロレス話をすればいいんだろう?近年のファンのブログで発揮されるプロレスへの価値観。そして何万というプロレスファンが目まぐるしく意を発信させるTwitter。早い、わからない。ついていけない・・・プロレスファンなのに、プロレスファンと馴染めない。プロレスファンの中でのプロレスファンの孤独、かぁ・・・

このブログも2ヶ月後には10年を迎えます。そして平成も来年には終わりを告げようとしています。時代の節目・・・僕が僕であるためには、どうすればいいんだろう・・・ボクにも転換期が迫っているのかもしれません。

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