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Channel: 団塊Jrのプロレスファン列伝
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発掘!!これが猪木の幻のジャーマン・スープレックス・ホールドだ

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どうも!!流星仮面二世です!!
 
さて、今年の8月にですね、
 
 
やりましたが、この中で1983年の9月16日、埼玉県・吉川町体育館で行われたアントニオ猪木vsアニマル浜口の一戦でのジャーマン・スープレックス・ホールドですね。ご紹介しました。
 
で、この日の放送ですが、試合前に襲撃された前田に変わり高田が急遽試合に出場。猪木に張り手で活を入れられるシーンや、セミでテレビ初登場だった藤原がコーナーへ金具攻撃され平気だったシーンなど、いろいろ覚えているんですが、この猪木vs浜口だけはどういうわけか見た記憶がないと、そういうお話をしました。
 
そしたらですね、我々のプロレス仲間であります"優しさの燃料気化爆弾"と言われる亀熊さんが、なんとこの日の放送の映像を持っていますと!!で、送ってくださいました!!
 
これですよ

 

これ

 

すごい!!

 

これ、まずですね、この猪木vs浜口戦なんですが、調べたところ2010年12月にビデオ・パック・ニッポンから発売された「アントニオ猪木デビュー50周年記念DVD-BOX(20枚組)」に唯一収録されているということらしいんですが、今回送っていただいたのはですね、当時の放送回か余すところなく!!そのまま、コマーシャルも入っているというものでですね、かなり貴重なものでした。

 
ということで晴れてこの日の浜口戦での猪木のジャーマン・スープレックス・ホールドを見ることができたわけですが、これがですね~やっぱり何も思い出せず・・・記憶が甦るどころか、まったく見た記憶がありませんでした。見たのを忘れてしまったんではなく、はっきりと確信すらした次第なんです。

というのもですね、これは見ていたなら絶対に忘れるはずがないもの、なんですよ。覚えているはずなんです。なぜかと言うと、猪木のこんなジャーマン・スープレックス・ホールドは、これまで一度も見たことないからです。

これまで猪木がやったことのない、そしてその後もやっていない形。映像も本でも取り上げられることのなかった、まさに幻のジャーマン・スープレックス・ホールド・・・それは一体どんなジャーマン・スープレックス・ホールドだったのでしょうか!?
 
では、見ていきましょう!!
 

試合は浜口が長州の得意技であるスコーピオン・デスロックを猪木に見舞い主導権を握りますが、ブレーク後に場外からエプロンへ上がった猪木が浜口を張り手で奇襲。ショルダースルーから延髄斬りと繋ぎ、そしてバックを伺うという展開です。

 

延髄斬りを食らい、朦朧と立ち上がる浜口の背後から猪木が忍び寄ります

 

猪木は浜口の左腕を上げ頭を潜らせます

 

これは通常なら猪木得意のバックドロップの体勢ですが・・・

 

ところが、この状態から通常のバックドロップにはあり得ないほど腰を深く沈め・・・

 

そこから後方へ!!

 

反ります!!

 

かなりの高速で弧を描いていき

 

その衝撃で一旦は沈みますが

 

ブリッジで立て直します

 

ということで、この日の猪木のジャーマン・スープレックス・ホールドは、なんとバックドロップの体勢から仕掛けるというもの、だったのです。

 

しかし疑問が残ります。なぜ猪木は、バックドロップの体勢からジャーマン・スープレックス・ホールドをしたのでしょうか?

 

まず、猪木はバックドロップの体勢に入りました。左腕で相手の左腕を上げ脇の下に頭を潜らせる・・・これはいつもの猪木のバックドロップの入り方です。ここから相手を体に乗せ、反り上げて落とすと、あの猪木の素晴らしいバックドロップになるわけですね。

 

なので、猪木は始めはバックドロップをしようとしたと。しかし投げる段階で頭が相手の左腕、脇の下から外れてしまったので途中からジャーマン・スープレックスへ変化させたんではないか?と考えた方もいたと思います。

 

しかしこの日はバックドロップの体勢に入りながらも、画像にもありますように通常のバックドロップにはない腰の沈め方をし、最後まで反る体勢、つまりジャーマン・スープレックス・ホールドの軌道で技に入っているんですね。


ということで、この日の猪木のジャーマン・スープレックス・ホールドとバックドロップを見比べてみましょう。

 

まずバックからですが、この時点ではバックドロップとまったく同じです

 

しかし投げる体勢に入ると腰の沈め方がちがうのがよくわかります

 

前回も説明したようにジャーマン・スープレックス・ホールドは首を振り背中を反らせブリッジを効かせるので、腹部に相手が乗っていれど顔と胸は相手から離れるタイミングがあります


バックドロップも、もちろん反りは重要ですが、反りきるジャーマン・スープレックス・ホールドとはちがい「反り上げて落とす」のが主要となります。そのため画像のように自分の上半身を相手の上半身から離さないのが極意となります。昔から言われる「ヘソで投げる」とは、まさにここ、なんですね


そしてインパクトです。真後ろにいくのがジャーマン・スープレックス・ホールド、対してバックドロップは自分の体がやや相手の方へ向く、ということがわかると思います

 

と、いう感じでですね、ジャーマン・スープレックス・ホールドとバックドロップはそもそもの技の質、技の軌道にちがいがあるので体の使い方もちがってくると、然り技に入る段階で決まっていないと成り立たないわけなんですね。なので・・・こういう点からボクは、変化したとは思えないんです。これは故意にバックドロップの体勢からジャーマン・スープレックス・ホールドをしたとしか考えられないわけなんですよ。


それにしても、バックドロップにしてジャーマン・スープレックス・ホールドとは・・・どういうことだったのでしょうか?

 

それは、たとえばジョン・トロスに決めたウラカン・ラナ。ルー・テーズにはブロックバスター・ホールドを見せ、エル・ゴリアスにはニューオクトパス・ホールドを、ザ・モンスターマンにはリバース・スラムからのギロチン・ドロップを、レフトフック・デイトンにはヘッドバットを放ちました。スタン・ハンセンには相手の得意技であるウェスタン・ラリアートを0.1秒の差で叩きつけ、アンドレ・ザ・ジャイアントには腕固めでギブアップを奪いました。そしてスピニング・バックブリーカー、アントニオ・ドライバーと・・・そうです。アントニオ猪木の幾多の戦いには、ある一定の期間しか使用しなかった技や、ここ一番だけの新必殺技、生涯ただ一度しか出さない技が存在していました。

 

これは、そういった技のひとつで・・・もしかしたらバックドロップをブリッジで固めホールドするという、猪木が考案した新しい技、だったのではないでしょうか?

 

耐えに耐え、体勢を逆転させてから待ちに待った得意技でフィニッシュが決まるのは、見るものにとって至福の瞬間。プロレスの醍醐味のひとつです。しかし、ときにはいつもとちがう戦いや技を見せ、アッと言わせてはファンの脳裏に焼きつかせたり探究心を持たせたりする、いつまでも人の記憶に残るようなシーンを見せるのもプロレスで、それができてこそ名レスラーだと思います。

 

37年前、ただ一度だけ放たれた猪木のジャーマン・スープレックス・ホールドは、そんな忘れ去られてしまったプロレスを思い出させてくれた、長い間眠っていて発掘された"宝物"だったんではないかなと・・・思いました。

 

その"宝物"を送ってくれた亀熊さん、本当にありがとうございました。

 


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