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Channel: 団塊Jrのプロレスファン列伝
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チャンピオンベルト・ワールド~ロード・オブ・ザ・ベルト パート3~

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探偵「テーズ・ベルトがブラッシーの手にあったとき、ベルトに入っている名前のところをブラッシーが黒いペンキで塗りつぶし、白で自身の名前を入れていた・・・そしてテーズのもとにベルトが戻ってきたとき、この部分のペンキを剥がすのに苦労したというお話を聞きました。そしてブラッシーがベルトをしている画像を見て、文字を確認しました。でも、その画像が・テーズ・ベルトでもインターナショナル選手権に流用されたベルトでもないって、一体!?」




こいつはちがうのか・・・?


先輩「所長が教えてくれた話は本当で、そういうことがあったのは間違いないと思う。しかし、それとは別に、このベルトに関してはどちらでもない、ってことなんだよ」


探偵「そんな・・・でもなぜ!?」


先輩「ベルトを3つ並べてみて、上から見比べてみよう」



画像1


先輩「左からブラッシーのベルト、中央がテーズ・ベルト、そして右がインターだ。まず・・・」


探偵「はい」


先輩「まず画像1だが、上の淵のラインだが、ブラッシーのは凹凸がなく一体型で流れているね。しかし真ん中のテーズ・ベルトと右のインターのベルトはは“HEAVY WEIGHT”の両側のところに凹凸がある。これは左側の“WORLDS”と右側の“WRESTLING”の間に、上にあとから乗せたように見える作りのレリーフだからなんだ」


探偵「本当だ・・・同じではないですね・・・」



画像2


先輩「そう、さらに・・・画像2だが、その“HEAVY  WEIGHT”と“CHAMPION”の上下の間だ。テーズ・ベルトはブラッシーのベルトに似てはいるが、同じではない。インターの方は明らかに幅がちがうね」



画像3


先輩「で、最後・・・ここが最も確証高いポイントだ。まず“CHAMPION”と書いてある左右のところだが、テーズ・ベルトとインターはこの部分が左右とも、ウイニング・ローレルと似ているデザインのものの端が渦を巻いているような形になっている。しかしブラッシーのはここが片側だけしか渦を巻いていない」


探偵「向かって左の黄色い矢印がある〇ですね。本当だ・・・これははっきりわかりますね」


先輩「そう。そして・・・レスラーの名前が入っているネームのところだ。ブラッシーのネームが書いてあるところ、向かって右下の黄色い〇の中。ブラッシーのとインターは、ここが同じようなデザインになっているが、インターがこの形が左右対称なデザインなのに対し、ブラッシーのは片側だけが同じなんだよ。同じ場所をテーズ・ベルトと比べると、テーズ・ベルトは同じところ、ネームの両脇が何もなくすっきりしているデザインなんだ」


探偵「この部分はテーズ・ベルトとインターのベルトの区別をつけるにも役に立ちますね」


先輩「そうだね。それにしても、この場所に関してはブラッシーのベルトは、そもそも形状がまったくちがうよ。全体的にテーズ・ベルトとインターは左右対称のデザインなんだけど、ブラッシーのベルトはあらゆるところが左右対象に作られていないようだ。」


探偵「よく見るとその他にもリングのレリーフとか、リングの周囲のレリーフも左右が異なった作りの箇所がたくさんある・・・細かなところにちがいがあります。ということは・・・」




こうするとよくわかる


探偵「カーペンティアの流用の件から、元々NAWA、WWAのベルトはテーズ・ベルトと同じという線は濃くて、これはまちがいないのかもしれませんが、、このベルトに関してこういう実態があったということは・・・実のところ、流用されたテーズ・ベルトは使用時期が短くて、早い時期にテーズのもとへ戻っていった可能性がありますね。得てしてNAWA、WWAでベルトが制作された時期は早かったのではと・・・・予想できます」


先輩「うん、つまりこういうことだったんじゃないかな・・・」




先輩「カーペンティアがベルトを流用してNAWA、WWAとなった。そのあとブラッシーがタイトルを手にした後に本筋となったWWAのベルトが作られた。この時点でベルトがふたつ。で、このふたつのうちのひとつがテーズのところに戻る」


探偵「はい。この辺は前回の話でも理解できています」


先輩「そう。で、このあとだ。テーズのもとへベルトが戻ってベルトがひとつになって、おそらくブラッシーのベルトが登場した。これでまたふたつになった。で、ここで力道山とブラッシーが統一戦を行う。ブラッシーが勝利してふたつのベルトを獲得したが、その後も使用していたのがブラッシーのベルト。残ったもう一本がインターへと流れたと・・・」





探偵「ということは、少なくとも・・・この形のベルトが3本あるということがわかりましたね!!しかし、そうなると今日までにまったく確認されていないこのブラッシー・ベルトです。これは今、一体どこに・・・」


先輩「うん、これはもう・・・残念ながら調べようがない。もしかするとブラッシー家にあるのかもしれないが、我々が調べるのはもうこの辺が限界じゃないかな・・・」


探偵「・・・」


先輩「これまでにテーズ・ベルト、インターのベルト、そしてブラッシー・ベルトと、この形状のベルトが最低3本はあったということがわかった。でも・・・プロレス書籍などでも資料的なものは出尽くしている感があるし、様々なシーンで登場するこのベルトは、当時の写真では写りがよくないものが多いので正確に見比べて判断ができるものが残念ながらない。所長・・・」


所長「キミたちの推理を総括すると、やはりテーズ・ベルトはひとつだけだったと言えそうだ。そしてインターナショナル選手権のベルトもブラッシー・ベルトも、このキミたちの推理でまちがいないだろう」


探偵「所長・・・」


所長「しかしだ、今回のこれらの調査結果は我々の推理でしかない。だから絶対正解とは言えないのだ。今日までにいろんな人が興味を持ち、このベルトのことを調べていった。有名なプロレス関係者からいちファンに至るまでな。だが・・・これが絶対という答えを出せた人はいない。このベルトは、それだけの価値と魅力を秘めているベルトということなのだ」


先輩「そうですね・・・」


所長「ただ・・・ひとつだけ、これだけは言えることがある」


先輩「え!?」


探偵「そ、それはなんですか?」


所長「力道山はこのベルトの形が、すごく好きだった・・・ということだ」


探偵「力道山が・・・」


所長「日本での世界戦ではベルトが見れなかったが、力道山は海外でNWAのテーズのベルトを見たことはもちろんあっただろう。そのとき・・・力道山は、あの形のベルトに一目惚れしてしまったのではないかなと私は思うのだ。ルー・テーズの持っていたインターナショナル選手権のベルトの形は謎だったが、私はテーズのインターナショナル選手権のベルトは力道山の作ったものとは似ていないかったと思っているんだよ。あれはあのベルトが好きだった力道山が、自身のベルトをテーズ・ベルトに似せて作ったのではないのかなと、そう思っているんだ。WWAの選手権も日本とロスとで盛んに行って、力道山はあのベルトを腰に巻いた。そのベルトは取られたが、すぐにインターナショナル選手権に姿を変え力道山の腰に巻かれたんだ。力道山はずっとこのベルトと一緒にいたかったんではないのかな」


探偵「ベルトが好き、かぁ・・・」


所長「見たまえ、この力道山の顔を」





所長「ベルトを巻いて、こんな素晴らしい笑顔をするレスラーを、キミたちは今までに見たことがあるかね?」


探偵「ないです・・・力道山が他のベルトをしている画像も見たことありますけど、こんな顔して写っているのはこのベルトの時だけですよ。なんて嬉しそうな顔なんだ・・・」


先輩「まるで欲しかったおもちゃを買ってもらった子供が、うれしそうに親やおじいいちゃん、おばあちゃんに見せているみたいな、とっても純粋な笑顔ですよ。心から喜んだときにしか出せない、素敵な笑顔です」


所長「うむ。今回は調査ご苦労様だった。あとはゆっくり休んでくれたまえ。では私は帰・・・」


コンコン


探偵「ん?誰かな?はい、どうぞ」


警察A「失礼します。こちらプロレス探偵事務所でよろしいでしょうか?」


探偵「は、はい・・・何かありましたでしょうか?」


警察B「実は昨日から行方不明になっている小学生の男の子とよく似ている子供と、誘拐の容疑のある50代の男性がこちらに入っていくのを見かけたという情報をいただいておりまして・・・」


探偵「子供と50代の男性・・・?」


先輩「誘拐・・・?」


所長「なんだ?どうしたんだ?」


警察A「あ!!子供が!!あー男も一緒だ!!」


所長「な、なんだ!?何事だ!?」


警察B「あなたに少年誘拐、並びに拉致監禁の容疑がかかっています。署まで来てもらいます!!」


所長「な、なんで私が誘拐犯なのだ!!私はコナンくんごっこを・・・」


警察B「抵抗するな!!公務執行妨害になるぞ!!おい、子供を保護して!!」


警察A「はい!!さあボク、こっちだよー!!」


所長「待て!!こ、コナンくんの声優の高山みなみは新間寿の姪なんだぞ!!なぁ!?」


探偵・先輩「・・・」


警察B「関係ない!!来ぉい!!」


バタン!!


先輩「・・・メシでも食って帰るか・・・」


探偵「はい・・・」



さて、所長は連行されてしまいましたが・・・いかがでしたでしょうか?


1937年、この形のベルトがプロレス界に現れて、今年で80年目。この長い時間の中で、鉄人ルー・テーズが、元祖STFのレイ・スチールが、巻投げの名人のホイッパー・ビリー・ワトソンが、空中殺法の祖のエドワード・カーペンティアが、噛みつき魔フレッド・ブラッシーが、白覆面の魔王ザ・デストロイヤーが・・・そして日本プロレス界の父・力道山が、世界の馬場さんが、プロレス最強の高田が・・・この形のベルトを腰に巻きました。


そして腰に巻きしそのレスラー達は、その時代の“王”として君臨したのです。


“王”が現れるたび、関係者がファンが、プロレスに関わるすべての人々が、そのベルトに迫りました。ある者は“王”自身に、ある者は歴史に、ある者はベルトそのものの謎に・・・人々は追いはじめます。しかしやっぱり・・・どこかで途切れてしまうのです。その頃、ベルトも姿を消してしまうのです。


しかし時を経て、やがて人々が忘れた頃にベルトは“王”と共に、また出現するのです。それを見て人々が追い始めると、やっぱりどこかで途切れ、そしてベルトも姿を消すのです。ベルトに惹かれ、ベルトを巡って旅をして・・・そして旅の途中で、そのベルトは幻のように姿を消してしまうのです。まるでベルトが意志を持っているように・・・


歴史の節々でプロレス界に姿を現し謎を誘った、魅惑のベルト。この先、またこのベルトがなんの前触れもなしに人々の前に“王”を従え、突然現れるかもしれません。そのときは一緒に、旅に出ませんか?ベルトを巡る旅に・・・


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。






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