Quantcast
Channel: 団塊Jrのプロレスファン列伝
Viewing all articles
Browse latest Browse all 312

小さなサマーファイト・シリーズ

$
0
0

連休ということで、久しぶりに失礼します。


さて、久しくお休みもままならないまま、ようやく連休前日にこぎつけた9日の日。毎年恒例の猪木VS藤波戦 を観戦し、目頭を熱くすることで始まる8月も今年で25年目になったか・・・


DVDを見終わり、そんなノスタルジーな思いにひとりひたっていると、つけっぱなしのテレビから流れてきた音楽はなんとザ・スコアー・・・これはワールドプロレスリング・クラッシックスか。


実はボク、このワールドプロレスリング・クラシックス、日々の忙しさと子供たちに独占されてしまったチャンネルの都合で、一度も見たことがなかったんだ。せっかくテレビも空いているし、明日から連休だし・・・ちょっと見てみようかな。


と、そのまま見始めると、まず始まったのが越中詩郎、山田恵一vs高田延彦、山崎一夫戦。ああ、これは見た記憶が・・・と身を乗り出すと、なんと息子が越中以外のレスラーに反応し食付きはじめた。中でもヤマちゃんのジャーマン・スープレックス・ホールドに過剰反応を示していたのには驚いた。うーん、なかなかやるな・・・


次に始まったのがアントニオ猪木vsスティーブ・ウィリアムス。こいつも見た記憶があるな・・・そういえば、これはIWGPの選手権だったのだが、実は息子が幼い頃、息子にIWGPのベルトのレプリカ(ローソンの懸賞のやつね)を無理やり持たせ、写真を撮っていたことがあったんだけど・・・そのことを見ている息子に話したら、


「あー!!ホントだ!!猪木さんのとおれのベルト同じだ」


と、興奮し目を輝かせた。しかしつかの間、試合が開始すると悲劇が襲った。猪木さんが痩せている、という点だった。そうだ、この頃は猪木のコンディションがよかったとはけして言えない時期だった。加えて、押され気味の試合展開にわかりずらいリングアウトでの勝敗に、猪木が勝利したにもかかわらず息子はどこか物足りない感じ・・・明らかに先ほどのテンションからフェードしているようだった。


そして最後に行われたのは藤波辰巳vs長州力だった。これには長州命の、自称・日本一長州の後ろ髪になりたかった女(なんだそりゃ・・・?)の嫁が


「いやーこのテーマ!!」


と洗濯物をたたむのを放棄してパワーホールと共にボクと息子がいる部屋に入場してきた。


試合はこの時代にしては珍しい三本勝負だった。試合早々長州のラリアートが決まり一本を先取したのだが、このとき


「うきゃあー!!」


という嫁の歓喜の雄叫びが響き渡り、それは近所の犬までもが反応し吠えだしたという・・・


それにしても・・・こうしてプロレスをテレビで、家族で見るという現在では消え失せてしまった状況下になろうとは・・・なんだか不思議な感じだったなぁ。


ボクは次の日、この試合が掲載されていた週プロを引っ張り出して読んでみた。パラパラとページをめくっていくと、ボクの脳裏を横切りだしたのは・・・


そうだ、この頃はみんな受験勉強で大変そうだったっけなぁ。でもおれは高校はレスリングの特待で進学だったから、この時期はもう高校に練習に行かされていたっけ・・・仲の良かった友達はどこの高校を志望していたんだっけかな?そういえばあいつは、あの子はどこの高校に行ったのかな?しかし、この時期って明らかに中二の頃とはみんな、雰囲気がちがってきてたよな。なんてのかなぁ・・・


あれ、あれれ!?そうそれはプロレスのことよりも、以外にも私生活の記憶の方だった。


“歌は世につれ、世は歌につれ”


という言葉がある。いつしか忘れてしまった、耳にしなくなった曲だが、聴けばその当時のことを鮮明に思い出す、という言葉で、人々の思い出のシーンには自分の好きだった歌や曲が、一緒に刻まれているというものだ。


ボクは歌を聴いたわけではなかったが、ページをめくるたび次から次へと鮮明な思い出が蘇ってくるところを見ると、自分にとっては、やっぱりプロレスは世につれ、世はプロレスにつれ、なのかな・・・なんてしみじみ思いながら、ボクは再び週プロをしまい始めた。


こうして部屋を出て、お昼でも食べようかなと二階から下に行くと、夏休みの宿題をしていた息子が


「猪木さんの試合、見たいよー。なんか見せてよー」


と言ってきた。


猪木さんは強いんだと教えてきた手前、昨日の試合はやはり説得力に欠けるものだった。しかし、だからといって自らプロレスが見たいとは・・・いよいよ何かに目覚めたか!?


いや、さすがに夏休み毎日アニマックスでは見飽きたな。ああ多分、そっちだな!!


まぁとにかく、ボクも見たいのでこの提案に乗ろうかな。


「おおー宿題終わったらDVD持ってくっから♪」


やがて宿題も終わり、何を見る?と話すと、息子が選んだのはなんとアンドレ・ザ・ジャイアント戦だった。


想像を絶する巨体ながらインテリジェンスなブレーンで数々の名勝負を残し、その人柄からレスラー同士の信頼を得ていたアンドレ先生という存在は、体のサイズを後世に伝えるばかりでなく、一社会人としても見習うところがある。ボクは以前から、そんなアンドレ先生の話を息子に聞かせていた。この辺のこともあり、まずアンドレ先生を見たかったのだろう。


そして見始まったのは、77年に愛知県体育館で行われたNWF戦。アンドレがトップロープからダイブしたりする、体重があって一番動けた頃のものだ。まず大きさに圧倒、そして動きに驚かされた息子を見て、これがプロレスなんだとボク自身も再確認させられた。


次に見せたのが、もちろんマスクド・スーパースターとの覆面VS3万ドルの、あの試合。続けて参戦後、3年もかかってようやくシングルが行われたブッチャー戦・・・と、その他、有名どころの名勝負を数試合見て終わった。


見終わった後、


「お父さんは猪木さん生で見たことあるんでしょー?いいなぁ・・・」


と、しみじみ言うと、息子は印象に残ったのかリバースのインディアン・デスロックから弓矢固めのことを聞いてきた。そしてそのあと、聞いてきたのがコブラツイストのやり方だった。


そう・・・猪木VS藤波戦での古舘さんの実況、


“もしかしたら学校の砂場でコブラツイストの練習を黙々としている子供の中に、この藤波の姿があったのかもしれません”


そうだったなぁ・・・


学校で休憩時間になると、友達と技の掛け合いをしたよなぁ・・・あの頃は誰でもコブラツイストができたんだ。みんながプロレスを見て、マネしたんだ。特別ファンじゃなくても、できたんだ。


ウチの息子は特別、格闘技が好きなわけではない。UFCなんかはテレビでかかっていても一緒に見ないし、今の新日本プロレスなんかは、つまらなそうな顔をして、ちがうのを見たいと言ってくる。


でもアントニオ猪木を見て、プロレスを見てコブラツイストを知りたくなった。あの頃、どこの学校にでもいた、技の掛け合いをして遊んでいた子供たちと同じ気持ちになったんだ。刺激されることに古い、新しいなんて関係なかった。心をつかむのに時代や時間なんて関係なかった。


いいものはいつだっていい。


またプロレスに学ばせてもらった。プロレスファンで、よかったなぁ・・・







Viewing all articles
Browse latest Browse all 312

Trending Articles