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Channel: 団塊Jrのプロレスファン列伝
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プロレス名勝負伝~オカダカズチカvs柴田勝頼~パート1

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どうも!!流星仮面二世です!!

さて、久しぶりのプロレス名勝負伝。今回は平成最後の特別編として2017年4月9日、両国国技館で行われましたオカダカズチカvs柴田勝頼のIWGPヘビー級選手権をお送りします。

近代プロレスの頂点に君臨し、その象徴的シーンであるオカダと、ストロングスタイルを継承する最後の闘魂、柴田の戦い。時代、年代を問わず、見る者すべてのの感情を揺さぶった、あの名勝負とは!?今回はこの試合を実況・古舘伊知郎、解説・山本小鉄、桜井康雄で完全再現。昭和の熱気と興奮を平成の名勝負にのせ、みなさんを闘いのワンダーランドへとご招待致します。

尚、本編は実際の試合映像に基づき作成しましたが、実際の試合映像と合わせた場合には個々の読み方によりラグが発生します。その点はご了承いただき、あくまで"真実の中の妄想"として、お楽しみいただければと思います。

それでは、どうぞ!!

古舘「IWGPヘビー級選手権、ドラマチックな幕開けであります。その入場テーマのイントロと共に訪れた一瞬の静寂は、これから始まる戦いのプロローグを表したか!?スクリーンに写し出されました柴田の肖像。流れては消え、流れては消えていく、まさに~柴田の歴史が今、走馬灯のように、人々の脳裏を巡ります!!


歴史的大一番が今、幕を明けんとしております。さぁー!!戦いのプロローグ、嵐の前の静けさが、ブルーのカクテル光線に姿を変え1万321人の超満員の大観衆を照らし出しました。

嵐の前の静けさから万雷の歓声へ、戦いの大海原へと姿を変えたか両国国技館。その中を、会場の声が波のように、柴田を導いてまいります。さざ波か大波か、この歓声の波の中を、航海へ出るか柴田、ストロングプロレスの生き証人は、この大歓声という海の中で今、何を模索しているのか!?

入場テーマの中、ドォーっ!!という大歓声と共に柴田勝頼が入ってまいりました。戦う男のメインストリート、この花道を踏みしめながら、口を真一文字に、引き締まった表情で進みます。


ストロングプロレスの原点、黒のショートタイツ、黒のシューズ、そして首からは、己を表す黒のザ・レスラーのタオル!!プロレス界に灯った蒼白き炎の最後の闘魂。喧嘩、売りに来ました発言から5年。ついに柴田が、戦いのロマンを肉体で包み込んでリングに、IWGPの前に、立とうとして今リングインだ!!

一呼吸おいて、大きく声を上げました。ストロングプロレスが迸(ほとばし)る柴田。去来する心中は何か?心は、すでに王者の自分を思い描いているのか?静かに入場を待ちます」

古舘「さあ、そして~、現在の東方見聞録か!?一転して金色(こんじき)の光に包まれました両国国技館。歓声は天へ届けとばかり、まさにプロレスを干ばつから救えと祈る雨乞いのように、人々が、一体となって声援を注ぎ込む!!チャンピオンの入場であります!!


入ってまいりましたオカダカズチカ。そのライトと同色の金色(こんじき)の綺羅びやかなガウンに美を包み、腰には、燦然と輝くIWGPのベルトが見えます。


王者の風格、鳳凰を思わせるそのガウンの色合いのように、プロレス界を潤わせるか黄金の雨。かつてのメソアメリカ文明で信仰されていた雨と雷の神トラロック。その~トラロックを連想させるレインメーカーポーズ、まさに天からの恵みの雨をカネに変え、鳳凰の姿を借りて甦った、黄金の雨の神の威風堂々たる入場シーンであります。華麗にして、恐ろしさをも感じさますオカダの貫禄。そして表情、自信に満ち溢れた、我こそは王者の佇まいだ。

そして~民へ、祈りを捧げよとばかり、エプロンで振り向いて教えを説いたか!?荒ぶる雨の神のリングイン!!

古代アステカ人が、雨の神として信仰を仰いだというトラロック。かつては、若き命を生け贄として捧げていたといいます。コーナーでのレインメーカーポーズは、まさにトラロックの生け贄の儀式か!?


柴田勝頼、現在の黄金の雨の神の前で、生け贄と化してしまうのか!?それとも柴田の蒼白き炎が、黄金の雨をすべて闘魂へと昇華させてしまうのか!?リング上の排他的関係、水と油の戦い模様。森羅万象、陰と陽が、今、同じリングに立ちました!!」


古舘「暮れも押し迫った80年12月。常に、プロレスの強さを追い求めてきたアントニオ猪木が描いてきた天下統一の野望、世界中に乱立するベルトを統合して真の世界王者を決定するという信念の下に端を発したIWGP。実現までに3年の年月を費やし、83年に開催に至りました。そして87年6月、奇しくも同じ場所、ここ両国国技館で行われた第5回IWGP決勝戦、アントニオ猪木vsマサ斎藤。ここで斎藤を破った猪木が優勝、初代王者として認定され、以降ベルトが今日(こんにち)に至るわけであります。

このとき挑戦者の柴田は8歳の少年。王者のオカダは、まだこの世に生を受ける5ヶ月前という驚愕の事実。このふたりが、今日このタイトルをかけて戦うという、まさに戦う男の運命の赤い糸。精神と精神が、生まれながらに繋がっていたのか柴田とオカダ。そんな錯覚さえ覚えます。

超満員を記録いたしました両国国技館。異様な空気の中で、いよいよメインイベントを迎えます。

リングアナ『試合に先立ちまして、チャンピオンベルトの返還です』

古舘「ベルトが、この試合を裁きますメインレフリーのレッドシューズ海野に、一旦手渡されました。ベルトを見つめる柴田。何を思うのか?」

リングアナ『本日のメインイベント、IWGPヘビー級選手権試合、60分1本勝負を行います』

古舘「両選手の~紹介が行われます。歴史的戦いの幕が開こうとしています!!」


リングアナ『青コーナー、挑戦者、本年度ニュージャパンカップ優勝者、180センチ、95キロ、柴田ぁー勝頼ぃー!!』

古舘「静かに一礼をしました!!最後のストロングプロレス、最後の闘魂!!柴田勝頼!!」


リングアナ『赤コーナー、第65年代チャンピオン、ケーオス、191センチ、107キロ、レインメーカー、オカダぁーカズチカぁー!!』

古舘「鳳凰降臨、黄金の雨の神、チャンピオン、オカダカズチカです!!」

古舘「さぁ~対角線上に対峙いたします両者。犬にしか聞こえない犬笛があるように、このふたりにしか聞こえない周波数の音波があるのか!?音のない視察戦、しかし緊張の糸は大歓声という音の中で揺らぎます。

柴田コールを受けながら、背中から戦いのオーラを放つ柴田。そして~いつもにも増した精悍な表情はオカダ。ピーンと張り詰めた空気の中で、去来する心中は何か!?外には春を思わせる満開の桜。しかしながらリング上は一寸先は闇のサバイバル。まさしく~いつ何が起こるかわからないリング上であります」

『カァーン!!』


古舘「ゴングの澄んだ音色が、大興奮の会場内に吸い込まれていきました。歴史的戦いは今、幕を明けました。IWGPヘビー級選手権試合60分1本勝負、その火蓋が今、切って落とされました。

改めまして放送席、解説はいつものように東京スポーツの桜井康雄さん、そして新日本プロレスの山本小鉄さんです。お二方どうぞよろしくお願いいたします」

桜井「よろしくお願いします」

山本「よろしくお願いします」

古舘「さあ山本さん、いよいよオカダのIWGP史上、最強の挑戦者を迎え撃つと言っても過言ではないと思うのですが、まずはお互いの心中、表情見ていかがですか?」

山本「そうですね。古舘さん柴田はですね、入場してくるとき花道で立ち止まって、下を向いたまま目を閉じてこう、やったんですよ」

古舘「はい」

山本「一呼吸おいてですね、精神統一して、気合いを入れたんですね。もちろんレスラー試合前にも気合い入れますけどね、改めてあそこで入れてリング入ってきたわけですね」

古舘「ははぁ」

山本「昔、猪木さんなんかがたまにやりましたね。それだけ気持ち入ってるのが伺えました」

古舘「静かな足運びから一旦歩を止めて、勝利への念と、改めて己とその闘争本能にマッチでポッと火をつけたような感じですね」

山本「そうですね。そういう柴田の勝負心て言うんですかね。戦いへの気持ちっ、負けん気もそうですけどね、そういう気持ちの面で、まず負けない、折れないっていう、そういうところの強さが人一倍ありますね」

古舘「精神面、メンタル的な強さですね」

山本「そうですね」

古舘「まあ山本さんはですね、柴田のお父さんである柴田勝久とは新日本旗揚げから行動を共にしてきた同志であったわけで、もちろんこの柴田も幼い頃から馴染みがあるわけですよね。そのあたりから柴田を見るのは、いろいろ思うところあるんじゃないですか」

山本「そうですね、お父さんの方は東京プロレスから日本プロレス来ましてですね、ボクの4年くらいあとですかね。それから新日本プロレス旗揚げと一緒でした。まあそうですね、お父さんも息子も馴染みありますけど、やっぱりね、似てますよね」

古舘「やはり面影、まあお父さんの方はですね、ワタクシはどうしてもレフリー柴田勝久の印象が優先してしまうんですが、レスラー時代を知る山本さんからすると、特に~若かりし時代のレスラー柴田勝久の面影が脳裏を過る、そんな感じなんじゃないですか」

山本「そうですね。新日本旗揚げしましてね、一緒に練習したり試合したり、試合以外のことでもね、団体が出来たばかりで大変な時期でしたね。そういうとき一緒にいろいろやりましたね。そういう若い頃の柴田を思い出しますね」

古舘「レスラー柴田と共になつかしい思い出も蘇ってくる、そんな感じですね」

山本「そうですね。ちょっとね、浸ってしまいますね」

古舘「2017年のニュージャパンカップ、並みいる猛獣が潜む戦いのジャングルともいうべきトーナメントを勝ち上がり、優勝して挑戦してきました柴田。決勝戦、動くマレット臼砲と言われます、あのバッドラック・ファレを、体重差約60キロというハンデともいうべき状況を跳ね返し勝利してきたわけであります。山本さんお話のように、まさに精神面の強さは秘めたるものがあります。


まあ桜井さん、60キロといいますとですね、ほぼ日本人の成人男性、ひとり分の重さになるわけですよね。この辺には驚いてしまいますね」

桜井「そうですねぇ~。ウェイトで言ったらスーパーヘビーとジュニアヘビーくらいの差があったわけですが、よく勝利しましたよねぇ」

古舘「そして桜井さん、そんな柴田がどんな戦いを見せるのか!?一方のオカダは柴田に対してはどうか!?序盤は静かな立ち上がり、いつもよりより慎重に見えますね」

桜井「そうですねぇ~。まあ2014年2月のジャパンカップで後藤くんがオカダくんに敗れて、あのとき柴田くんがオカダくんの前に立ちはだかったわけですよねぇ。そしてジャパンカップ優勝してから来いと言われてねぇ、まあ屈辱だったわけですよねぇ柴田くんにしたらですねぇ」

古舘「そうですね~」

桜井「しかしそれからいろいろなことが柴田くんにあって、もちろんオカダくんもいろいろ経験を積んでねぇ、お互いこう深みを増したわけですよねぇ」

古舘「さあ~まさしくお話にもありましたように、お互い重ねてきたものの現れか!?探り合いからマウントを取った柴田が、そのまま制圧せんとしております」

山本「古舘さん、柴田は上に乗ってですね、技は出さないで、まず上から見たんですよ」

古舘「そうですね」

山本「柴田はここであえてね、なにもやらなかったんですね」

古舘「あえてやらない」

山本「そうです、上取って見下ろしてですね、おまえより上手(うわて)なんだよ、っていうのをですね、相手にアピールしたんですね」

古舘「まず技術的に圧倒して、そして下から見るのと上から見下ろすではですね、精神的にどうしても上からの方が有利になりますからね。この場合は上から制圧して無言のプレッシャーを与えたわけですね」

山本「そうですね。駆け引きっていうんですかね、まず精神面で先手を取るっていうんですかね、タイトルマッチで挑戦者ですからね、精神的にも主導権握るって面でも、そういう面で優位に立つってことは大事ですね」


古舘「さあ、その柴田が~今度はスライディングしてのローキック、アリキックの体勢に移行してまいりました。かつてアントニオ猪木が、幾多の異種格闘技戦で見せました下からの戦法、ミステリーキック、アリキックの体勢だ。アリキックの体勢から~再び寝技に誘うか!?」

山本「柴田はさっきは上取って、今度は下からいきましたね」

古舘「そうですね」

山本「これもですね、下からこいこいって、ちょっとバカにしたようにですね、あえてやるんですよ。しかしですね、オカダは安易に行きませんね。こういう姿勢ですね、見てますね。足をですね、足をこう、向かい合いましたね。普段の試合ではこういう動き自分からは見せませんけど、攻めに対しての、受け方っていうんですかね、ちゃんとしてるんですよ」

古舘「言ってみれば攻めへのカウンターのような感じですね」

山本「そうですね、一見、攻められてるようで攻めさせてないんですね。こう来るとこうなるっていうのがわかっていないとですね、こういうのは出来ませんからね」

古舘「技術には技術で応戦して、オカダはそう何度も思い通にはさせないぞ、という意識表示。これはプライドの表れと見て取れるかもしれないですね」

山本「そうですね、プライドとかですね、精神の戦いって面も感じられますね」

保坂「放送席、古舘さん」

古舘「はい保坂さん」

保坂「決戦を前にした両者の様子なんですが、柴田はですね、オカダは本当はレインメーカーというものを演じているレスラーなんだと、レインメーカーというマスクを被ってる感情のないマスクマンなんだと、こう言うんですね」

古舘「はい」

保坂「だからその被ってる覆面をですね、今日は剥がしてやるんだと、こう言うんですね。新日本プロレスには昔があって今がって、そういう歴史っていうものがあるんだと、それをオカダにですね、痛みで教えたいと、こう言っておりました」

古舘「なるほど」

保坂「一方のオカダはですね、柴田さんこそ、おれこそ昔ながらの新日本プロレスというマスクをかぶってるのではないかと、こう言うんですね」

古舘「ははぁ」

保坂「そして柴田が昔の新日本的な発言をしたことに対してはですね、自分は昔のことは知りたくもないと、今のプロレスをして、しっかり痛みで伝えたいと、こう語っておりました」

古舘「わかりました。ありがとうございました。保坂アナウンサーより、試合前の両者の様子が伝えられました。お互い羊の皮を被った狼のように、剥ぎ取って~素の部分を出させてやると、一歩も譲らない構えであります。まあ桜井さん、両者とも気が強いですね~」

桜井「そうですねぇ~。まあ柴田くんが血統的な新日本流のプロレスを受け継いでるレスラーならオカダくんは近代プロレスを代表するレスラーと言って過言でなはいわけですからねぇ。そこをお互いのスタイルをねぇ、マスクを被っているとたとえてねぇ、やりあうあたり気が強いですよねぇ~」

古舘「そうですね~」

桜井「しかし最後はお互いに痛みで伝えたいというのがねぇ、お互い堂々と勝負しようじゃないかというねぇ、意志がいいですねぇ」


古舘「さあ~まさに痛みでストロングスタイルをオカダへ伝えんとしているのか!?しかしながら腕ひしぎ逆十字は素早くロープエスケープ。山本さん、この辺ですね!?」

山本「そうですね。柴田が入って極るっていう本当に寸前ですね、オカダがブレークしましたね。極りどころを知ってるからこういう逃げ方ができるわけなんですよ。このあたりの駆け引きっていうんですかね、本当に交差していますね」

古舘「試合前、新日本プロレスのリング上で黙々と行われていたスパーリング。父のとなりで幼き日の柴田は、それらを目にしながら自分の体にストロングスタイル、ストロングプロレスを、動きを~刻み込んでいったのかもしれません。

さぁ一旦場外へエスケープからオカダ。一旦仕切り直してリングインを狙うか!?桜井さん、このあたりはオカダがうまいですね」

桜井「そうですねぇ~技が解かれたあとすぐ場外へ行きましたよねぇ。ちょっと呼吸をおく他に柴田くんのペースをねぇ、流れを変えるためにもいいですねぇ。このあたりはオカダくんのチャンピオンとして積んできたインサイドワークですねぇ」

古舘「オカダカズチカ、16歳でプロレスの門を叩いて厳しい修行時代を日本、メキシコ、アメリカと、様々なところで経験を積んでまいりました。その経験、チャンピオンとして身につけてきたインサイドワークがあります。

さあリング内、今度はスタンドからの展開だ。グラウンドからスタンド、展開を通して、ふたりには様々な、見えない言葉が行き交っている、見えない銃弾が~飛び交っている、そんな戦い模様にも見て取れるようであります。さあ柴田、無言のプレッシャーから、今度はどう出るか!?関節技を取って、あるいはポジションを取って再びプレッシャーという銃弾を浴びせていくか!?それともオカダは無言にして迎撃体制、すべてを見通した上での攻防か!?リング上の制空権争い、そんな風にも見て取れます。

さぁ、己の足を掛けてハンマーロックを切り返していった柴田。オカダのハンマーロックをリストロックで切り返していきました。まるで知恵の輪が外れるかのように、スルリと返していきました。柴田の研ぎ澄まされたプロレステクニックが、ここにきて発揮されてまいりました。対して、チャンピオン、オカダはどう出るか?しかし今度はオカダが自ら回転して足を取る。ステップオーバートーホールドに移行だ。この辺はうまい。オカダもテクニックで返していきます。戦いながら一手先を読む、まさに~チェスゲームの様相を呈してきたかリング上。海千山千、手練の応酬だ。山本さん、このあたりの攻防ですね、どう見ますか?」

山本「そうですね、やっぱりお互い意地の張り合いですね。技には技でね、ラフならラフって感じだと思うんですよ。おまえそうくるのか?よし、じゃおれもやってやろうじゃないか、っていうね、同じ土俵でやり合うわけですよ。リング上がれば敵同士ですけど、そういう中で切磋琢磨しているっていうんですかね、そういうもの感じますね」

古舘「まさしく切磋琢磨、戦いながら競い合ってお互いを磨き合う、自身の今後の糧にもなるわけですね」


山本「そうですね。それと今ですね、ヘッドシザース足首の上のところにヒザを置いて外していきましたね。足首の内側の一番痛いところをヒザで体重乗せてですね、逃げられない訳ですよ。一瞬ですけどね、こういうとこうまいですね」

古舘「ん~なるほど。さあ決まり具合はどうか?しかし今度は~オカダが返す刀だ。己の体を軸にして、クルクルっと回転して切り返していった。技には技、シーソーゲーム、華麗なるチェスゲームの様相を呈してきた両雄。桜井さん、返してまた返していった、この辺りに技術とともに、両雄の意地やプライドも見られますね」

桜井「そうですねぇ~。腕を取って足を取ってね、ひとつねぇ~このヨーロッパのレスリングに精通するような動きですよねぇ。攻防の中でねぇ、同じような技術でやりあうわけですからねぇ。ふたりの動きが素晴らしいですねぇ」

古舘「かつてイギリス、ランカシャー地方にありました、カール・ゴッチ、ビル・ロビンソンらを輩出しましたビリー・ライレー・ジム、通称・蛇の穴。まさしく、その蛇の穴の伝統のヨーロッパ・レスリングを彷彿させるかのような動きが展開されんとしております」

桜井「イギリスのねぇ、レボリューション・プロレスリングという団体があってですね、柴田くんはそこが主催するブリティシュ・ヘビー級のチャンピオンでもあったんですよねぇ。そのあたりからこのヨーロッパ流のレスリングに精通するものですねぇ、何かピーンとくるものがあったんでしょうねぇ」

古舘「そうですね~。さあリストを取ったオカダ。基本に忠実に腕をキメめていきます。ハンマーロックから腕狙いか、リストを固めんとしております。先ほどから、様々なスタイルに対応していきますオカダ。このあたりが若くして近代プロレスの王である、表れ、証かもしれません。しかし今度は柴田がヘッドロックだ。お互い基本技で返してまいりました」

山本「古舘さん、古舘さんも知ってると思いますけど、ヘッドロックですね、レスラーなったら最初に覚える技なんですよ。頬とか顎ですね、人間急所があってですね、そこをこの手首のちょっと後ろの骨のところですね、ここでしっかり締めていくわけなんですね」

古舘「山本さんワタシも以前ですね、試合前の若手レスラーにかけてもらったことがあるんですが、確かに単に頭を力ずくで締められるのはですね、もちろん痛いんですが、こちらはなんとか数秒は我慢できたんですがちょうど顔面、急所をキメたヘッドロックですね、こちらはまったく耐えることができませんで、お恥ずかしいお話なんですがワタクシあまりの痛さに悲鳴すらあげられない状態になってしまいましたね」

山本「そうですね、ボクらレスラー、ベテランなってもですね、ヘッドロックというのは涙出るくらい痛い、効く技なんですよ。基本の技ですけどね、基本の技ほど効果あるということですね」

古舘「そうですね~」

山本「しかしですね古舘さん、今はこういう基本的なことがちゃんとできない人間が多いですけどね。プロレスだけじゃなくてね、やっぱり何事も基本が大事ってことですよね」

古舘「本当に基本に勝るものはありませんよね~。さあリング上、まさしく基本、教科書通りのヘッドロックでチャンピオンをじわじわと追い込まんとしております柴田。痛みで教えたいという両雄、まずは柴田が先手を打ったか!?さあ一方、苦しいオカダ、立ち上がって~再びロープに振るか!?それとも今度は腕を取って切り返すか!?何があるか!?しかし再びヘッドロック。柴田、必要なまでにヘッドロック攻撃に出て参りました」

桜井「このヘッドロックですねぇ~オカダはどう脱出して、どういう展開に持っていくかですねぇ。その展開がひとつの鍵になりますね」

古舘「2004年8月、メキシコのアレナ・コリセオで、かつて初代タイガーマスクとも激戦を繰り広げました地獄の伝道師、ネグロ・ナバーロとの一戦でデビューしましたオカダカズチカ。16歳でデビュー、それから今日までの年月で、これほどのヘッドロックを受けたのは初めての出来事ではないでしょうか!?

さぁー苦しい態勢、ロープ際、ニュートラルコーナーに追いやってオカダ、一旦ブレイクを狙うか!?どうするか!?さあクリーンブレイクか!?ヘッドロックのダメージがあるか!?それとも腹に一物、ゆっくりと間を取って、これもひとつの心理戦か!?それとも次なる技、何かを仕掛けていくか!?ブレイクを、おっとヘッドロックにフラストレーション爆発か横殴りエルボー!!これは意外な展開だ」

桜井「いやぁ~技でねぇ~クリーンに戦っていた柴田にラフできたオカダへのブーイングでしょうねっ」

古舘「そうですね~場内からはチャンピオンにブーイングが沸いています。しかし柴田も返していった!!さあ柴田、闘魂の導火線へ点火か!?対角線に押しやって何があるか!?さあ~エルボーの速射砲、集中砲火だ!!倍にして返していって、何があるか!?反動を利して、おーっとオカダも追いかけていって一撃だー!!」

山本「今、柴田が背を向けたとたん間髪入れず追いかけていって入れましたね。こういう攻めがいいですね」

古舘「そうですね~。まったく考えるスキを与えず振り向けばオカダ。まさにルール無用のだるまさんが転んだ状態か!?一瞬の~油断も許されませんリング上。お互いに譲らない両者。中央に歩み寄る。さあエルボー合戦、エルボー合戦!!打って打たれて打ち返す。目には目を、歯には歯を、やられたらやり返す、古代メソポタミア、ハンムラビ法典の教えのようだ。桜井さん、このあたりがお互い意識している感の現れですね」

桜井「そうですねぇ、お互い攻撃を受けてねぇ、効いているはずなんですが一歩も引きませんよねぇ。気持ちがねぇ、強さですねぇ、現れてますよねぇ」

古舘「しかしながらケンカ・ファイトはやや柴田が優勢か!?強烈なヒジ爆弾。必要なまでの攻撃、闘魂が宿る柴田のエルボーにオカダがやや劣勢だ。オカダ青息吐息、一歩後退か!?」

桜井「オカダくんのアゴへねぇ、入ってますよねっ」

古舘「連打で畳み掛けます柴田。まだまだと首を振り強烈無比、情け容赦ない攻撃、振り下ろすかのように当てていく!!目には目を、ついにオカダが屈したか!?山本さん、この柴田の表情ですね」

山本「そうですね、引けないって気持ちもありますけどね、それと打撃では柴田が一枚上って感じでしたね」

古舘「やはり打撃では一日の長があるか柴田!?秘めたる攻撃力があります。背後から~リング上の闇家業、現代の辻斬りといわれるペナルティキックへの布石か!?蹴りつけていった柴田。そして、足を取って何があるか!?」

桜井「あ、4の字固めじゃないですかねぇ」

古舘「そうですね~。独特のモーションから足をフックして、じわーっと腰を落としていくか!?持っていきましたフィギュア・フォー・レッグロック、足4の字固め柴田。さあほぼリングの中央、ポジションはいいぞ。ドロップキック、レインメーカー、数々のオカダの必殺技を司る生命線とも言われます足を、足を封じていく作戦か柴田。柴田が魂で痛みを与えるか!?」


桜井「いやねぇ、先ほどのエルボーもそうですけどねぇ、魂で痛みを伝えるという点でですよねぇ。今日の柴田は入場から試合もですねぇ、この眼光ですよね。鬼気迫るものがありますよねぇ」

古舘「そうですよね~。まるで幾年月、戦いが行われてきたこの新日本マットのですね、闘魂が時空を超えて集まってですね、なにか憑依しているかのような、そんなふうにも見て取れますよね」

桜井「そうですねぇ~柴田くんのプロレスは一味ちがいますねぇ」

古舘「さあ、足へのダメージはどうか!?オカダの長い足を足4の字に捕えています。山本さん、決まり具合どうですか!?」

山本「いいんですけどね、オカダはまだ体起きてますね。ということはですね、これだけ極まってまだ余力あるということなんですよ。耐えられる力があるわけなんですね。なのでね、いいんですけどね、ボクは作戦的にはどうかな?って思いますね」

古舘「やはり体格差、リーチの差も効果に反映される場合がありますが、この場合はオカダの体の全体のパワーということですね」

山本「そうですね」

古舘「オカダの生命線、足を狙っていきました柴田。しかしながら山本さんのご指摘のように、焼け石に水の攻防となってしまうのか!?均整のとれた肉体で一見わかりずらいのですが、見た目より、かなりのパワーがありますオカダ。さあ、オカダが腕を立てて耐えんとする。やはり4の字は焼け石に水か!?まだ余力を感じさせる上半身、オカダの~鍛え抜かれた上半身だ。柴田を引きずる、引きずってエスケープを狙うか!?パワーでは完全に上回りますオカダ、柴田を引きずる、後ずさるようにロープだ~」

山本「古舘さんオカダは今ですね、うつ伏せじゃなくて体上向いたままで2メーターくらいですか、ロープまで引っ張っていったんですよ。こんな逃げ方はなかなかできませんよ」

古舘「そうですね~。逆腕立て伏せと言いますか、腕と広背筋だけで持っていった感がありますね。しかしながらブレイクしたとたんに再び足狙い、オカダの足を畳んでリバースのインディアン・デスロック、リバースのインディアン・デスロックをガキッと決めてまいりました。背後に倒れて反動を与え、その勢いで自らも鼓舞していくのか柴田。闘魂がまたひとつ時空を超えてやって来たか!?ガキっとフックされた足、柴田。さあそして~右足を軸にしてー!!ボーアンドアロー、弓矢固めに持っていったー!!山本さん!!」

山本「いいんですけどね~、ちょっと体勢悪いですね」

桜井「いやぁ~しかし、一瞬ゾッとしましたねぇ~」

古舘「そうですね~!!柴田の闘魂遺伝子か!?それとも素粒子ニュートリノが、闘魂の記憶を持ったまま柴田の体に飛び込み記憶だけを残してすり抜けていったのか!?一連の足殺しテクニックが甦りました!!」

パート2へ続きます。


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