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Channel: 団塊Jrのプロレスファン列伝
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ノスタルジア・メロディ 1

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どうも!!流星仮面二世です!!
 
さて車で片道30分にもなる通勤時間。自分にとって、その相棒といえば他でもない「音楽」です。

しかし、最新のヒット曲は苦手。聴くのは昔のばかりです。もちろん新しいのも聴くんですが、なんていうんですかね?この内側から入ってこないというか、何度も聴こうと思えるものが少ないのが現状ですね。そんなことで古いのばかり聴いてしまいまして・・・いやぁ~、このあたりはもはやトシのせい?なのかもしれないですね。

そこいくとプロレスの入場テーマ曲は新旧なくいい気持ちで聴けますね。

ボクの車のカーステレオのフォルダには「お父さんのプロレス」というのがあり、新日本、全日本は日本人へ編と外国人編がそれぞれ。それに炎のファイターだけを集めたもの、その他マニアックなのをいろいろ集めたものというのが配備てあります。さらに息子の三世用として近年の新日本編に、オカダ・カズチカのレインメーカーだけを集めたものなんていうのもあります。年数には開きがあれど、いつ、どこから聴いても年代に関係なく、いい気分になり気持ちが高揚していくプロレスの入場テーマ曲。やっぱりいいものです。

と、今でこそ・・・こうして曲を集めるのにも、検索すれば誰がどの曲なのかがすぐわかりますし、欲しいと思えばダウンロードやネットで買える便利な世の中になりました。でも、そうだったよなぁ。あの頃は、そうはいかなかったなぁ・・・
 
ボクが初めてプロレスの入場テーマ曲集を手に入れたのは小学6年生のとき。ビクターから発売されていた「THE PRO-WRESTLING(ザ・プロレスリング)」のカセットテープがそれでした。
 
その日、たまたま行ったボクの地元の茨城県土浦市の「ピアタウン」というデパートは、書店にはプロレス雑誌の他、当時は会場でしか買えないはずだった闘魂スペシャルが、なぜか2、3シリーズごとに店先に並んでおり・・・幼馴染みの情報によれば食品売場には、あのプロレスアイス(プロレス研究所~レスラーとは限らない!!幻の強豪を探せ!!~)も豊富に売っていたという、ちょっと他所とはちがう空気を持った不思議なところでした。
 
そんなピアタウンのレコード店にある日、たまたま立ち寄ると、忘れもしません。店内の一番奥の棚の一番上の列の一番左側でした。それはボクの目に、まさに飛び込んできたのです。
 
「THE PRO-WRESTLING!?」
 
好きこそものの上手なれ、道は好む所によって安し。学生時代、英語はまるでダメでしたが、たとえ小学6年生にしても「プロレスリング」という単語が読めないわけがありません。まさか!?と思い手に取ると・・・
 
「ハンセンにブロディ、カブキ、ホーガン、タイガーマスク、猪木・・・こ、これ!!これプロレスラーのテーマだ!!」
 
この頃はプロレスラーの入場テーマ曲がこんな形で売っていることを知らなかったので、これは大発見だ!!と、すぐにレジを通し店から出ると、ボクはパッケージを舐めるように何度も見ました。
 
当時テレビ以外では耳にすることができなかったレスラーの入場テーマ曲が、まるまる一曲だ。しかも、こんなたくさん入っている。これがあれば何度でも聴けるんだ・・・すごい、すごいぞこれは!!
 
しかし、それだけではなく・・・この入場テーマ曲集は曲の頭に古舘さんの実況風曲紹介が入っているという涙モノの一品でもあったのです。
 
家に帰りさっそくカセットをラジカセに入れ、再生します。A面の1曲目はスタン・ハンセン・・・ああ、このイントロ、この臨場感!!ブルロープを振り回し走ってくる勇姿が鮮明に脳裏に甦ります。
 
そして2曲目はギャラクシー・エキスプレス。すごいなぁ~。NWA世界王者にはNWA世界ヘビー級チャンピオンのテーマというのがあるんだ!!と前のめりになると、ピンときたボクは
 
「そうだ。確か押し入れに浴衣が・・・」
 
と、押し入れを物色しだしました。探すと奥の方に、昔、家の誰かが着てた古い浴衣がしまってありました。

その浴衣は古かったため脇のあたりが痛んでおり、広げると破けていた袖はだいぶ垂れ下がっていました。でも、もはやアドレナリン分泌量がピークに差し掛からんとしていたボクは気にすることなくそれを取り出すと、広げて袖を通し、以前に画用紙とボール紙で作ったNWAのベルトを巻いて

「これでおれもリック・フレアー!!」

と、ラジカセをロックンロール・バック・ズモフのように担ぎ持つと意気揚々と洗面所の鏡の前へと向かいました。

音楽をかけ、フレアーのように両腕を広げてみます。しかしそのとき鏡に写し出された姿は・・・
 
あれ・・・!?

しかし、このジュディ・オングが発端となり、閃いたボクはいてもたってもいられなくなり次の行動に移りました。入場テーマ曲のテープを一旦巻き戻して止め、家の納屋に行き祖母の麦わら帽子と前掛けと荒縄を拝借。麦わら帽子のツバを曲げ上げ、アゴひもで止めカウボーイハットにし、あの酒屋が使うような厚手の前掛けを左右ひとつずつ足に付けてチャップスに。そして荒縄を束ねブルロープがわりにし部屋へと戻りました。
 
こうして自分の部屋の隣の8畳間をリングに見立てテーマ曲をオンにします。あの荒野を雄大に走るイメージのイントロでは軽くジャンプしたり体を振ったり・・・そして曲調が変わると自分の部屋の奥からハンセンの真似をして荒縄を振り回しながら入場しました。8畳間に入ると相手を睨み付けながら小走りにロープに飛び威嚇。
 
そして
 
「赤コーナー、あ300パンドー、スタンーハンセーン」
 
「ウィー!!」
 
と、ひとり仲田龍からの改心のテキサス・ロングホーンです。
 
「あああ・・・なんて気持ちのいい・・・おれ今、スタン・ハンセンだぁ~・・・」
 
それは、言葉では言い表すことができないほどの幸福感でした。
 
こうして喜色満面となり、よし次はブロディだ!!と、策を練ります。引き続き酒屋みたいな前掛けは拝借し、今度は半分に折り曲げてスネに縛り付け、あの独特のリングシューズを演出します。そして再び納屋に行き、昔、農機の牽引用として使っていた錆びたフック付きのクサリを使おうと、まさにジャラジャラと引っ張り出そうとしました。
 
すると
 
「そーたしこで(そんな格好で)なにやってんだ!?」
 
という声が・・・
 
振り向くと、そこには唖然と立ち尽くす祖母が・・・
 
「ぶ、ブルーザー・ブロディを、ちょっと探してて・・・」

と、思わず答えると
 
「あー?ワラ長靴は、こーたとこにいねぇど~(こんなところにいないよ)」
 
(※祖母はブロディをワラ長靴と呼んでいた)
 
異様なイデタチの孫を相手に笑いながら答える祖母。もはや収拾が見込まれない現場となってしまったことで、ひとりなりきり入場ゴッコは・・・仕方がない、あきらめて普通に聴こう。と部屋に戻りました。
 
しかし、楽しい。なんて楽しいんだ。入場テーマ曲に乗って入場することが、これほど楽しいことだったとは・・・それからも祖母の目を盗んでは麦わら帽子やクサリを持ち出したり、浴衣を持ち出して志村のようにジュディ・オングを・・・いやいや、リック・フレアーやアントニオ猪木をしては、こっそりレスラーになりきって入場シーンを楽しんだのでした。
 
こうして初めてのプロレス入場テーマ曲を手に入れてから1年後。兄が高校に入り、入学祝にステレオを買ってもらうと、我が家でもレコードが聴けるようになりました。
 
この時代にはプロレスのレコードも結構発売されるようになったので「そうか、レコードが聴けるのか!!」とうれしくなりましたが・・・だがしかし。発売はされど、当時はレコード屋にプロレスのものは、そうそう置いてはなかったのです。
 
とにかく何か1枚、まず欲しい。でも置いてないんじゃなぁ・・・というそんなとき、誰に聞いたのか今では思い出せないんですが、プロレスのレコードが売っているのを見たという話を誰かから聞きました。場所は当時、茨城県土浦市にあったサンバード長﨑屋・土浦市荒川沖店の中にあるレコード店。そこに猪木や長州がジャケットに載っているレコードがあると言うのです。
 
それは行かなくては!!と親に頼み、さっそく連れていってもらいました。そしてレコード店に入り探してみると、そこに1枚だけ、確かにありました。
 
それは日本コロンビアから発売されていた「新日本プロレス最新テーマ曲集 プロレスファイティングミュージック」というレコードでした。

「これがプロレスのレコードか!!レスラーがジャケットにこんなに大きく載っているのか!!すげぇ!!これはすげぇ!!」

初めて目にするプロレスのレコード・・・買わない理由はありませんでした。
 
こうして家に帰り、さっそく聴こうとレコードを開けると、まず収録されている曲のレスラーがカラーで掲載されている解説書が出てきました。この時点でテンションは急上昇。ワクワク感は先に持っていたTHE PRO-WRESTLINGを買ったあの日を上回り、さらにこのレコードにはTHE PRO-WRESTLINGには収録されていなかった曲も入っていたので、その期待度は計り知れないものでした。
 
こうして大興奮のままレコードを再生します。A面の1曲目は炎のファイター。これはTHE PRO-WRESTLINGにも入っていましたが、レコードで聴くそれは格別にちがいない。そう思うと、もう心臓は爆発寸前でした。
 
しかし・・・そのイントロがかかった瞬間、悲劇がボクを襲いました。
 
「ん!?なんだこれは!?」
 
あ、あ~そうか。そういえばB面の1曲目が「プロレスファイティングミュージックのテーマ」っていう、このレコードのオリジナル曲だったんだ。これ、B面を先に再生しちゃったんだな。とレコードを一旦止め曲名を確認しますが・・・あれ!?まちがえていないぞ!?
 
ということは、最初のあれが炎のファイターだっていうのか!?
 
そんな・・・炎のファイターって、こんなゆっくりじゃないし、そもそもこんな飛行機が飛ぶみたいな音なんて入ってないよ!!なんだこれ!!ぜんぜん炎のファイターじゃないじゃないか!!こんなのやだよー!!
 
そこで、ふとジャケットに目をやると、そこには炎のファイターのあとに(パート1)という表記が・・・
 
「なんだパート1って!?なんだよこれ!!なんだよこれ・・・知らないよこんなの・・・」
 
さっきまで大気圏ギリギリのところを飛んでいたボクのテンションは一気に地球の最深部のマリアナ海溝へと落ちていきました。
 
しかし前田や坂口の入場テーマ曲を初めてフルで聴けたことで、なんとか気持ちも回復。そしてB面となりアニマル浜口の入場テーマ曲を聴くと、実はこのレコードで一番楽しみにしていたラッシャー木村の入場テーマ曲の番が、いよいよ来ました。
 
当時、ラッシャー木村のファンというわけではありませんでしたが、ラッシャー木村が入場してくるときテレビから「じーんじんじんじんじーん」と聴こえることから、兄と
 
「じんじんじん」
 
と呼んで喜んでいたラッシャー木村の入場テーマ曲は、実は大好きでした。
 
(※ちなみに古舘さんが歌う「燃えろ!吠えろ!タイガーマスク」のことは同じ理由で「デオス!デオス!タイガー」と呼んでいました。どうでもいい話ですけど)
 
なので曲順を見て、「じんじんじん」は「スカイダイバー」というのか~。と期待度が膨れ上がり、いよいよラッシャー木村の「じんじんじん」が直に聴けるんだ~。と、気持ちが高まりました。炎のファイターにはヘコまされたけど、そっちはとりあえずTHE PRO-WRESTLINGでちゃんとしたのがあるし、とにかくラッシャー木村の「じんじんじん」が聴ければ、このレコード買った甲斐があるというもんだ。そう思うと気分も快晴へと向かうのでした。
 
こうしてかかったラッシャー木村の入場テーマ曲でしたが・・・

「ファッファッ♪ ファファファファファファ♪」

な、なんだこのオープンカーで海岸線を仲間達と陽気にドライブしているみたいな陽気な音楽は!?これちがうよ!!じーんじんじんじんじーん、じゃないよ!!なんだもうこのレコードは!!このレコード、いやだ!!
 
その後、プロレスの入場テーマ曲にはカバーが多々あることを知り・・・この「新日本プロレス最新テーマ曲集 プロレスファイティングミュージック」の炎のファイター(パート1)はカバーであり、マンドリルの方の炎のファイター、つまりアリ・ボンバイエがパート1だと知りることができ、そしてラッシャー木村の「スカイダイバー」は国際プロレス時代のもので「じんじんじん」を「Rebirth of the beat」という曲名と知ることができたのは、それから約20年近く過ぎた30代手前のことでした。
 
プロレスの入場テーマ曲。それは「知っていても簡単には辿り着けない」というものだということを、まさに身をもって思い知らされた出来事でした。
 
しかし「知っていても簡単には辿り着けない」プロレスの入場テーマ曲の、その一番のピーク。象徴的シーンがボクの身に起きたのは中学3年生になったときでした。
 
2に続きます。
 

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