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Channel: 団塊Jrのプロレスファン列伝
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黄色い悪魔~第三話~

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フッフッフ・・・久しぶりだな諸君。


さてさて、今回は原作・漫画の方だが・・・前回も説明したようにアニメ、原作ともに大筋の内容は変わらないのだよ。変わらないのだが・・・途中から不思議な流れというか、なんというか・・・まあ、百聞は一見に如かずというからな。ここは見ていこうではないか。


ではまず、おおまかなストーリーをお話ししよう。


アニメでは柔道の全日本選手権へ乱入した宇宙仮面SFが物語の狼煙を上げたのはご承知だろう。しかし原作は柔道ではなく、なんと大相撲の夏場所へ乱入し、取組をしていた三役の力士を同時にふたりKOしてしまうというものすごいビジョンも展開、ベールを脱ぐこととなった。




まさかの相撲に乱入したSF


こうして日本プロレス界へ突然に宣戦布告した宇宙仮面SFだが・・・ミスター馬場、猪木が協議してそろって会見し、その卑怯なやり方には納得できない、得てして挑戦等は受けないという発表をしたのだ。



そろって会見するBI砲


だが、宇宙仮面SFは乱入という形を取り、ジャンボ鶴田vsアブドーラ・ザ・ブッチャー戦に現れる。そしてここで宇宙プロレス連盟の名を初めて口にする。





そして宇宙仮面SFは挑戦は受けないと無抵抗だったジャンボを容赦なく滅多打ちにする。そして・・・そのあまりの凶悪ぶりに子供ながら試合を止めに入った少年・立花一也がまさに放り投げられたとき・・・


おお!!


さっそうと場内へ現れたレスラーこそタイガーマスク二世だった。




あの雄姿だ


こうして現れたタイガーマスク二世は、リング上から謎だったタイガーマスクの正体が伊達直人であった話、伊達直人が事故で亡くなってしまっていた話、自身が孤児だった話などをミスター馬場に語った。





こうしてタイガーマスク二世は宇宙仮面SFと戦い、かくしてタイガーマスク二世はスタートを切ったのだ。


宇宙仮面SFに勝利したタイガーマスク二世だったが、休む間もなく次の対戦者である吸血仮面ザ・バットが現れる。実力を誇示せんとホテルの部屋でブッチャーをKOに追い込み、日本プロレス界へ挑戦を迫る。これを受けしタイガーマスク二世は全日本のマットにおいてバットの挑戦を受ける。しかし麻酔薬が仕込んである牙の凶器での噛みつき攻撃を受け早々ピンフォール負けを許してしまう。


だがそこに、麻酔薬という前代未聞の凶器に倒れていた控室に、宇宙仮面SF戦で救った一也と姉の純子が現れる。




一也と純子


タイガーマスク二世はこの優しき女性、純子にあのルリ子さんを見る・・・そして必ずザ・バッドを倒すことをこのふたりに約束するのだった。


一方リング上では試合後、ザ・バッドがテレビを通しミスター馬場、猪木、藤波への挑戦を大々的にぶち上げていた。これをテレビで見ていたアントニオ猪木はこの挑戦を受け、場所を新日本マットに移し戦うが同じく麻酔薬の噛みつき攻撃を受けフォール負けを喫してしまった。


だがその試合直後、スーツ姿のタイガーマスク二世がリングに上がり、バッドの麻酔薬での噛みつき攻撃のトリックを暴き、コブラツイストで謎の地下プロレス組織の正体を迫る。あと一歩でバッドが口にするその刹那、会場の片隅から麻酔銃の狙撃が・・・バッドは気絶し、正体は謎となった。しかしこの戦いがタイガーマスク二世と猪木の友情を呼び、ふたりは協力して宇宙プロレス連盟と戦っていくことを誓い合った。


こうして協力したふたりの前に最初に現れたのはマスクマンのタッグチーム、ミスター・フー1号、2号だった。巨漢ながら素早い動きに手を焼いたが、チームワークで快勝する。勝利したことでタイガーへ相手のマスクを剥ぐ権利が与えられたが、タイガーは相手の傷口を労りマスクを剥がなかった。


翌日ミスター・フーの入院する病院を訪れるタイガーと猪木。マスクを剥がさなかったその行為に敬意を表し、ついに宇宙プロレス連盟のボスの名を告げるのだった。誰あろう、ちょうど来日中のアラビアの石油王、アーマン・ハッサンこそ、地下プロレス組織のボスだったのだ。




アーマン・ハッサン


そんなハッサンが来日に合わせ会場に現れる。そしてタイガー、猪木組とアンドレ、ハンセン組の試合が行われるのを観戦するのだが、力にモノを言わせたハッサンはアンドレ、ハンセンに、勝てば特別な賞金をやると迫る。これを受け猛烈に攻撃をしたアンドレ、ハンセンだったが試合に敗れた。地上のレスラーはあてにならん!!ここでハッサンはあのヘル・ホークスを呼び日本へ仕向けた。こうして本格的な戦いが幕を開けたのだ。



ヘル・ホークス


その頃、日の出スポーツの記者である亜久竜夫は取材で対面したミスタージャイアンツの長嶋氏へ、自分へ千本ノックをしてくれと申し出る。




長嶋氏・・・漫画でもカリスマを感じる


そう、この亜久竜夫こそタイガーマスク二世だったのだ。




亜久竜夫


生きた鷹を凶器にするヘル・ホークス・・・この攻撃に対する策としてタイガーマスク二世の亜久竜夫がミスターに志願したというわけだったのだ。


こうして物語はタイガーマスク二世の良き理解者であるアントニオ猪木




猪木


そして竜夫の所属する日の出スポーツのデスクと



デスク(ぴんから兄弟ではない)


女性記者で同僚のみどり



みどり


これらの登場人物と共に展開していく。

タイガーマスク二世の正体が物語の1/3を過ぎたあたりで千本ノックを受けるタイミングで明かされ、デスクとみどりの出番が少なめなど・・・少々ちがいもあれどここまでの話は大筋アニメと同じ、いやむしろ先代タイガーマスクの流れやストーリー展開を十分に組んだ原作である漫画の方が完成度が高かったような、そんな気がした。特に最初のタイガー登場シーン、あの先代と同じコスチュームでコーナーポストに立つあの雄姿は、今後を期待させるものが大いにあった。


が、しかし・・・このヘル・ホークス戦を境に漫画には変化が起き始める。ま、細かいところは後半に述べるとして、ストーリーを続けよう。


ヘル・ホークスとの試合に勝利したタイガーマスク二世は、富士山のふもとにある自身の秘密の訓練所であったタイガー・ピラミッダーを猪木に教えるため案内した。


タイガーマスク二世はタイガー・ピラミッダーのその概要を明らかにし、今後は新日本プロレスの練習の場としてここを提供することを猪木へ提案した。そして、ここで猪木とタイガーマスク二世はさっそくピラミッダーの中にあるリングで練習を開始し、その後、自らが修業時代に経験した話をし、5000年もの伝統を受け継ぐエジプトのピラミッド・チャンピオンのベルトの話をして、猪木との信頼関係、友情を深めていったのだ。


こうしてさらなる絆で結ばれたふたりはその後、アマゾンの吸血人種という凶暴な人種が正体の死神シルバーと青銅マッスルとの怪奇レスラータッグ、タイガーマスク二世とアブドーラ・ザ・ブッチャーを路上で襲い高らかに宣戦布告したザ・エジプタスらと対決、勝利を収めていった。



ルックスは超えられなかったが、あのミスター・ノーをどこか髣髴させたエジプタス


一方シングルでも、若き日に白人レスラーから差別され、その怒りのあまりリング上で殺人を犯してしまいKKK、クー・クラックス・クランから追われる身になった悲劇のレスラー、タイガーに勝つ以外、マスクの錠のカギをハッサンから返してもらえない、覆面を抜けない覆面レスラー


黒人のキッド・ジャマイカが正体?ザ・アイアンマスク


などと対戦し、宇宙プロレス連盟との戦いは続いた。

 
そんな戦いの最中、新日本プロレスは空前のビッグイベントである“世界プロレス・グランプリ”を開催する。各国から代表レスラーを集め雌雄を決するこの大会にアジア地区代表として参加したタイガーだったが、その中で中近東地区代表として参加してきたツターン・カーメンが気になった。



ツターン・カーメン


そう、猪木と推測した結果、ツターン・カーメンの正体がアーマン・ハッサンではないかと思われたからだ。


かつて素顔でファイトしていた悪役レスラーで空手を武器に相手を血の海に沈める・・・猪木がゴッチ、テーズから話を聞いていたというレスラー。その正体は推測でしかなかったが、すぐに宇宙プロレス連盟のレスラーということが判明。タイガーと覆面をかけて戦うことになる。


カーメンはタイガーのアバラを3本も折るなど、必殺の空手技で戦ったが敗北。ルール通りマスクを剥がされると、そこから出てきたのは素顔ではなく、なんとガスマスクのようなマスクだった。それをも剥ごうとするが・・・その瞬間、マスクから催眠ガスが噴射され、タイガー、猪木他リングサイド周辺の人間はみな眠ってしまう事態に。そのスキを見てカーメンは逃げるように会場を去っっていった。


後日、ハッサンは記者の質問に、もし私がツターン・カーメンだとして、戦うことでタイガーの戦力をスパイしていたとしたら?と不気味に答えた。嘘か真か?そして、それはどういった意味をあらわすのか・・・謎から一転、宇宙プロレス連盟から最後に送り込まれてきたレスラーの名で、その謎は解けた。最後のレスラー、それはあの暗闇の虎ブラック・タイガーだった。


ブラック・タイガー・・・タイガーマスク、先代と二世とあるのはご承知だろうが、この二作品に敵として同じ名前で登場しレスラーは、このブラック・タイガーしかいない。




ブラック・タイガー


先代タイガーマスクに出てきた初代ブラック・タイガーは虎の穴の支配者の3人のうちのひとりで、幻のレスラーと呼ばれた存在だった。しかしタイガー抹殺のため、その姿を露わにしタイガーとタッグで対決するが、大門の捨て身の攻撃で差し違えたレスラーだった。


もしかして、このブラック・タイガーはその末裔なのでは・・・はたして二代目は?



おお・・・


残念ながら末裔ではなかった。しかし、そう。諸君らもお気づきだろう。ブラック・タイガーとは元来、黒人レスラーだったのだ。タイガーの敵、そして黒人レスラー・・・この条件で、まさに甦ったといってもいいほどのこの登場はうれしいものだった。


こうして、いよいよタイガーマスク二世とブラック・タイガーの一戦が始まる。が、こちらも内容に異変が生じてくる。これも後半に述べるとして、ストーリーを続けよう。


ハッサンのいうとおり、ツターン・カーメンはスパイとしてタイガーの実力を探ったのか・・・ブラック・タイガーは初戦、キラー・カーンと対決し、タイガーマスク二世が試合で行うのとまったく同じ技、攻撃で翻弄したのち、カーンをあっさりと料理してしまった。これを見ていたタイガーマスク二世はその姿に警戒し、気持ちを引き締めるのだった。


強さ、自信をおおいに見せつけたブラック・タイガーだったが、それに駄目を押すようになんと全日本プロレスの試合会場に突如現れ、ミスター馬場とハンセンの試合に割って入り、何も攻撃しないで去って行った。これは新日本プロレスの嫌がらせだ!!怒れるミスター馬場・・・新日本と全日本、ときは外国人レスラー引き抜き戦争真っ只中。ブラック・タイガーは新日本内部だけでなく、新日本と全日本の確執にも更なる火種をまいたのだった。


カーン、そしてブッチャー戦を経て実現したタイガーvsブラックの試合。過去の二戦でスーパーヘビーのふたりを追い込んだブラック・タイガーの実力の前にタイガーマスク二世は追い込まれる。鉄柱攻撃に意識を失いながらも本能で戦い続けたタイガーマスク二世。


初戦を場外での足4の字に取り、両者リングアウトに持ち込みなんとか面目を保ったが、この試合で右ヒザに重傷を追ってしまうと同時に、内容で完全に押されていたという事実に計り知れないショックに見舞われるのだった。



タイガーマスク二世の精神的ショックは相当なものだった


通常なら欠場するほどのケガだったが、これをひた隠しにし誰もいない道場で腕のみのトレーニングに挑む・・・そんな中、突然道場に忘れ物を取りに戻ってきたキラー・カーンがドアを開けた瞬間、本能的に両腕と片足のみの側転で交わした。この動きにピンときたタイガーマスク二世は、特訓を開始。必殺技を編み出す。


やがて負傷を押し行ったブラック・タイガーとの再戦。初戦で精神までも痛めつけられたタイガーだったが、完治していないヒザがアダとなり、ブラック・タイガーに防戦一方に攻められた。追い詰められしタイガーに、ブラック・タイガーがマスクを剥ぎにかかる。ついにマスクを取られたタイガーマスク二世だったが、そのマスクの下から出てきしものは・・・





ああ!?こ、これは!?


一瞬の戸惑いをタイガーマスク二世は見逃さなかった。ブラック・タイガーを場外へ放り出すとあの特訓の技を出す時がやってきた。片足の側転から繰り出した技は、あのスペース・フライング・タイガー・ドロップだったのだ。必殺のスペース・フライング・タイガー・ドロップを食らったブラック・タイガーはついに起き上れず敗北を喫した。


「宇宙プロレス連盟は宇宙飛行トラ爆弾に敗れたか・・・」


こうしてアーマン・ハッサンは負けを認め、日本プロレス界の乗っ取りをやめ、本国へ帰っていくのだった。


宇宙プロレス連盟との戦いが終わり、いちプロレスラーとなったタイガーマスク二世・・・平穏を取り戻したかと思えたが、タイガーマスク二世の前に試合後、カトレアの花束を持った女性が現れる。その人は自動車産業で世界的に有名なロッキー・モーターズの会長の令嬢・郷カオルだったのだ。タイガーマスク二世の大ファンであったが、自身の誕生日会に来たタイガーマスク二世に結婚を迫り、勝手な思い込みから一方的に婚約を発表してしまう。


新日本プロレスとロッキー・モーターズの古くからの付き合いで行った誕生日会だったが、こんなことになるなんて・・・ほとぼりが冷めるまで海外遠征してくれないか?猪木にそう言われタイガーマスク二世が飛んだのはニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンであった。そしてここで世界ジュニアヘビー級チャンピオンのマテオ・ゴメスに挑戦という大チャンスを迎えた。




マテオ・ゴメス


必殺のスペース・フライング・タイガー・ドロップを放ち、ついにジュニアの世界チャンピオンとなったタイガーだった。しかし喜びもつかの間。タイガーマスク二世がチャンピオンになったことで軽量級の王国であるメキシコマットが黙ってないと・・・





ヘビー級の少ないメキシコでは軽量級タイトルこそ絶対に譲れない宝。その宝を奪われたとなれば当然、メキシコは死にもの狂いになってタイガーマスク二世を追いかけるだろう。


新たな敵との戦い・・・そう、タイガーの戦いはまだまだ続く・・・


さて、いかがだっただろうか?


タイガーマスク二世、こうして見ると確かにひとつの物語なのだが、途中からの変化にはどうしても違和感が残る。なんというのだろうか、あまりにも伝わってしまう“やっつけ感”と“無理無理感”が、どうしても気になってしまうのだ。先にご紹介したとおり、序盤は素晴らしかった。しかしヘル・ホークス戦のあとくらいから・・・一体何が起こったのか?見てみようではないか。


まずはライトなところからいこう。


最終話、ニューヨークで外国人記者と話す女性の画像を載せたが・・・これが誰だかわかるかね?


そう、みどりなのだよ。


アニメではバイクで行動するボーイッシュな女性であったみどり。漫画ではバイクも乗らず、つなぎ服こそ来ていないが・・・こちらもアニメ同様、初登場は活発、行動派なボーイッシュなイメージだった。


しかし容姿とは一変、アニメでは竜夫にほのかに思いを寄せるみどりだったのに対し、漫画でのみどりは恋愛に関しても活発、行動派・・・竜夫への好意が露骨だった。社へ竜夫へのお弁当を作って持ってきてあげて、私が奥さんになったら旦那さんには外食させないんだ~なんて語っていた。



ウフーンって・・・


しかも連載を通し竜夫への恋が深まっていったからか?



みどり初期(左) みどり中期(右)



第一話と最終話


恋をすると女性はきれいになる。古くから言われる言葉だが、この変わりようはまさに恋する女ではないか!!髪を伸ばして、パンツルックからスカートへ・・・この、振り向いてもらおうというけなげさの、なんてかわいらしい。私が恋してしまいそうだ。スポーツ漫画というジャンルに胡座をかかないこのリアリティ、すばらしい。さすがタイガーマスクと言うしかないな。


続いてヘビーなのをいってみよう。


まずヘル・ホークス戦後、タイガーマスク二世が富士山のふもとにある自身の秘密の訓練所であったタイガー・ピラミッダーへ猪木を案内するのだが、このとき乗っていたタイガーマスク二世の車であるタイガーハリケーン。普段は通常の車だがスイッチひとつで変形する、アニメではオープニングと作中でおなじみの車だが、これが漫画でハッキリと姿を見せて登場したのはこの画像にあるショットのみである。




タイガーハリケーン


つまりこの1回だけで、その後はまったく登場していない。タイガーマスク二世の車はこれ以降、ポルシェに代わっているのだ。




タイガーのポルシェ。バンパーを見るからに70年代の911か930ターボか?


そしてチャンピオンベルトだ。作中では自身がこのベルトを手にするまでの経緯が回想シーンを交え詳しく猪木に話されていた。5000年もの伝統を受け継ぐエジプトのピラミッド・チャンピオンのベルト・・・その歴史と価値に、これからはこのベルトを付けて試合に出ないか?と猪木に言われ、猪木さんが言うならそうします!と答えたのだが・・・こちらもアニメでは頻繁に登場していたがタイガーハリケーン同様、これが漫画でハッキリと姿を見せて登場したのは下の画像にあるショットのみである。




漫画では最初で最後の登場となったピラミッド・チャンピオンベルト


この1回だけで、タイガーマスク二世がこのベルトを付け試合に登場した回はおろか、このベルトが登場した回はなかったのだ。突如として突然に、いや、むしろ無理矢理後付けされたようなこの描写は一体なんなのだろうか?しかし、その疑問にさらに追い打ちをかける事態がやはりこの回には存在した。


そう、ここからタイガーマスク二世のコスチュームが変わるのだ。



コスチュームが変わった最初のコマ。小さい




拡大すると・・・


過去のアニメや漫画でも、そういうことは多々あった。しかしそれには必ず劇中にキッカケ、理由があってのことだった。だが・・・タイガーマスク二世は何の前触れもなく、遠い引きの画から、まさにこっそりとコスチュームが変わったのだ。以降、もはやあの先代タイガーのコスチュームを身に着けていたタイガーは出てこなくなり、我々が佐山タイガーで見慣れたあのコスチュームとなったのだ。なんの説明も振りもなく、である。


タイガーハリケーン、チャンピオンベルト、そしてコスチュームの変更・・・なぜ、こういうことが起きてしまったのか?理由は・・・そうだな、これらが当時商品化されていたのをご存知の諸君らなら、お気づきだろう。


そして、最大の変化であるブラック・タイガー戦だ。


先に見た画像でもわかるようにタイガーマスク二世がマスクを剥がされ漫画から現実のマスクへ一気に変貌を遂げる劇的シーンに、ん!?っと思った諸君は多かったかもしれない。だが、初戦のブラック・タイガー戦ではもっと、ん!?となってしまうシーンが多々存在するのだ。もうお分かりだね?そう、このブラック・タイガー戦はプロレス・スーパースター列伝のタイガーマスク編とリンクするのだよ!!重ねてみよう。



タイガーの意識が飛ぶキッカケとなった鉄柱攻撃。列伝でいう“心の旅路”だ



初戦を引き分けに持ち込んだ場外での足4の字。ブラックの手の形までが・・・




スペース・フライング・タイガー・ドロップの特訓をするタイガー。もはやどちらがどちらだかわからないほどだ

ご存知のようにブラック・タイガーは実在するレスラーだ。


名レスラー伝~暗闇の虎ブラック・タイガー~


タイガーマスクの敵として現れたブラック・タイガー。現実、タイガーマスク二世、そしてプロレス・スーパースター列伝のタイガーマスク編・・・これらが同時期に進行していたのは知っていよう。その中でブラック・タイガーと列伝が重なっているのは、これはまあ理解できる。しかし・・・なぜ漫画であるタイガーマスク二世とプロレス・スーパースター列伝のタイガーマスク編が時間軸を交じ合わせてしまったのだ!?なぜ同じにする必要があったのだ!?


タイガーマスク二世の最初のオリジナルホールドはタイガー雪崩地獄というツームストーン・パイルドライバーのキン肉ドライバーバージョンのようなすごい技だった。他に、人間ドリル、流星スネークバスター、あばれ太鼓ダブル・ハンマーという技も使った。だが途中から、タイガーマスク二世はタイガー・スープレックスホールド、ジャーマン・スープレックスホールド、サマーソルト・キックなどを使うようになった。はてはスペース・フライング・タイガー・ドロップをも使うようになった。漫画の技を現実が使うのではなく、現実の技を漫画が使うようになったのだ。


そしてマスクだ。




タイガーのマスクが変化していく・・・


技、マスク・・・そうなのだ。漫画の方が現実に近づいていってしまったのだ。


そして・・・ザ・バッドの試合後に姿を見せ、タイガーマスク二世にルリ子さんに似ているとまで言わしめた立花一也のお姉さんの純子も、初めに登場しただけでその後はまったく姿を見せることはなかった。





仮にも、あのルリ子さんの名前が出ているほどの存在・・・タイガーマスクの作品中にして、これほど名誉なことはないはずなのだ。しかし、なんの痕跡も残さず姿を消してしまったのだ。そのかわりブッチャーの出番が増え、後半ではとうとう新間の顔まで頻繁に見られるようになってしまった。


梶原作品は、どれも愛、そしてなんらかのメッセージが込められていると私は思っている。先代のタイガー、あしたのジョー、巨人の星など、有名作品を振り返ればご理解いただけるだろう。しかしだ、このタイガーマスク二世には、哀しみや苦しみ、せつなさ、やるせなさ、そしてそれらを超越する愛やメッセージが感じられなかった。 なぜなのか?初めこそ正当なタイガーマスクを進もうとしていたのに、なぜ途中からこうもめまぐるしく変化してしまったのか!?こういう作品になってしまったのか!?


やはり、佐山タイガーが凄すぎたのだ・・・佐山タイガーは世の中を動かしただけでなく、劇画の世界まで動かしてしまったのだ。あの梶原先生でさえ、それを読めなかったのだと・・・私は思う。漫画タイガーマスク二世が悪いわけではない。佐山タイガーが凄すぎたのだ。


さて、長きに渡りお送りしてきた黄色い悪魔シリーズ、いかがだっただろうか?


最後に・・・一言だけ言わせてもらおう。新作を作るのは結構だ。しかし、もしアニメが現実とリンクする内容であるならば、もう4代目タイガーではだめだ。新しいタイガーが必要だ。無理に初代のマネをすることはない。飛び技なんぞやらんでもいい。黒のロングタイツでもいいのだ。重要なのは誰も持っていないモノを持っている新しいタイガーが必要なんだということなのだよ。わかるかね?


哀しみをマスクに隠し、明るく振る舞いながら・・・でも一生懸命で必死だったタイガーマスク。いつの時代も、我々の心に刻まれしヒーローだった。新しいタイガー・・・一体何を見せてくれるかね?楽しみにしているぞ。


では諸君、また会おう。


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