ではパート1からの続きです。
ここからは北米タッグ戦の歴史が始まります。
1979年
6月15日 ロサンゼルス オリンピック・オーデトリアム
NWA認定北米タッグ選手権 60分3本勝負
坂口征二、長州力vsマサ斎藤、ヒロ・マツダ
①坂口(13分45秒 反則勝ち)斎藤
②斎藤(2分15秒 体固め)長州
③長州(2分00秒 体固め)斎藤
海外に乗り込んでのタイトル戦となったこの試合は1-1から3本目、決勝の1本を長州が斎藤から2分ちょうど、体固めで取り2-1でNWA北米タッグ選手権奪取となりました。長州にとってはプロレスでタイトル初栄冠となった試合でした。
◎サマーファイトシリーズ
7月6日 三重県 四日市市体育館
NWA認定北米タッグ選手権 60分3本勝負
坂口征二、長州力vs木村健吾、ストロング小林
①小林(15分59秒 背骨折り)長州
②坂口(4分45秒片エビ固め)木村
③長州(2分54秒 体固め)小林
長州にとっての初タイトルの初防衛戦は、意外なことに坂口とのコンビで前々・北米タッグ王者だった小林が木村と組んでの試合でした。新・王者の威厳を見せつけるべく、決勝の1本を長州が小林から取っています。
◎プロレス夢のオールスター戦
8月26日 東京 日本武道館
タッグマッチ 30分1勝負
長州力、アニマル浜口vsグレート小鹿、大熊元司
浜口(11分8秒 反則勝ち)大熊
プロレス夢のオールスター戦です。この日、長州は当時、国際プロレスだったアニマル浜口と運命の初タッグを結成。初めてとは思えないチームワークで極道コンビを翻弄しました。
見事な連携を見せた長州と浜口
まったく接点ないところから、こうして出会って・・・ふたりは維新軍となりジャパンプロレスとなり、一緒にやっていくんですよねぇ。人の運命は本当に不思議ですね。
◎ブラディ・ファイトシリーズ
8月31日 宮崎県 南九州学院短期大学体育館
NWA認定北米タッグ選手権 60分3本勝負
坂口征二、長州力vsバディ・ロバーツ、ジェリー・ブラウン
①ブラウン(11分56秒 体固め)長州
②長州(2分38秒 体固め)ブラウン
③坂口(2分28秒 体固め)ロバーツ
元・北米タッグ王者のハリウッド・ブロンドスとの防衛戦でした。ちなみにバディ・ロバーツは、のちのフリーバーズのバディ・ロバーツです。
9月28日 愛知県体育館
NWA認定北米タッグ選手権 60分3本勝負
坂口征二、長州力vsタイガー・ジェット・シン、マサ斎藤
①長州(8分1秒 体固め)斎藤
②斎藤(2分15秒 体固め)長州
③坂口組(2分12秒 反則勝ち)シン組
このあたりから北米タッグ戦線にジェットシンが絡んできます。しかしジェットシン、斎藤組とはすごいチームです。
◎闘魂シリーズ
11月7日 留萌市スポーツセンター
45分1本勝負
ダスティ・ローデスvs長州力
ローデス(5分35秒 片エビ固め)長州
このシリーズで長州はローデスとシングル初対決を行っています。今となっては異色の対決ですね。
11月16日 沖縄県 那覇・奥武山体育館
NWA認定北米タッグ選手権 60分3本勝負
坂口征二、長州力vsタイガー・ジェット・シン、マサ斎藤
①坂口組(9分1秒 反則勝ち)シン組
②斎藤(0分55秒 体固め)長州
③長州(0分37秒 体固め)斎藤
北米タッグは前回と同じくジェットシン、斎藤が挑戦です。2-1で坂口、長州が勝利していますが、2本目、3本目の試合タイムを見ると展開のすごさ、凄まじさが伺えます。
12月2日 津市体育館
45分1本勝負
ボブ・バックランドvs長州力
バックランド(8分6秒 回転足折り固め)長州
こちらはバックランドとのシングル初対決になります。
が・・・これ、ちょっと話が脱線しちゃいますが、以前ですね、ブログで第3回IWGPの話をやりまして、そのとき85年5月21日 香川県・丸亀市民体育館のセミファイナルでマスクド、バックランドvs坂口、星野というカードが組まれ、そのフィニッシュがバックランドのジャパニーズ・レッグロール・クラッチ・ホールドだったと、ご紹介したことがあったわけですよ。
で、そのときボクは「バックランドがこの技を使うというのは知られておらず、また日本、海外ともバックランドがこの技を使っている写真等が残っていないので、これは貴重な一戦でした」と、こう書いたんですが・・・今回これにより、この長州との初シングルでバックランドが第3回IWGPより6年も前に、すでにこの技を使っていたことが判明しました。
しかも、その後の長州との試合、80年5月24日の青森市民体育館、5月25日の松本市総合体育館、81年4月12日の大分・武蔵町グランドと計4回のシングルすべてが、この技でのフィニッシュとなっていることもわかりました。
映像や写真は相変わらず出てこないので、その点においてはまだ謎が残りますが、それにしても・・・先に出ました藤波とバックランド。ふたりは、なぜ長州戦になると、この技をこれほどまで多用したのでしょうか?
もしかして長州はこの技が苦手で・・・藤波とバックランドは、それを見抜いていたから、ということなのでしょうか?結局のところ何もわからずですが、あまりにも使用された回転足折り固め・・・不思議でなりません。
12月17日 ニューヨーク マディソン・スクエア・ガーデン
NWA認定北米タッグ選手権 60分1本勝負
坂口征二、長州力vsジョジョ・アンドリュース、バッド・ニュース・アレン
坂口(9分44秒 体固め)アンドリュース
さて北米タッグに戻ります。5度目の防衛戦はマディソンでした。こちらは1本勝負で、余裕の勝利だったようです。
1980年
◎新春黄金シリーズ
1月6日 東京 福生市民体育館
長州力vsダイナマイト・キッド
長州(8分15秒、反則勝ち)キッド
こちらの試合は、もちろんシングル初対決でしたが、調べたところ長州とキッドがシングルで戦ったのはこれのみ。最初で最後のシングルマッチでした。今となっては貴重な一戦です。
2月7日 大阪府立体育館
NWA認定北米タッグ選手権 60分3本勝負
坂口征二、長州力vsバッド・ニュース・アレン、マサ斎藤
①坂口組(9分37秒 反則勝ち)斎藤組
②アレン(3分12秒 体固め)長州
③長州(3分21秒 体固め)アレン
斎藤が新たにアレンを従え挑戦。このタッグチームも強そうですね。北米タッグ、熱を帯びています。
◎ビッグファイトシリーズ
4月3日 東京 蔵前国技館
NWA認定北米タッグ選手権 60分3本勝負
坂口征二、長州力vsアイアン・シーク、スーパー・デストロイヤー(ドン・ジャーディン)
①坂口(8分1秒 逆エビ固め)デストロイヤー
②長州(3分52秒 体固め)シーク
名前を見ると相当な実力派チームなのがわかりますが、試合ではデストロイヤーは後半疾走、シークはラフ・ファイト中心という展開だったようです。しかしシークvs長州、興味が湧きますね。
◎第3回MSGシリーズ
5月14日 奈良県立橿原公苑体育館
30分1勝負
ハルク・ホーガンvs長州力
ホーガン(1分28秒 体固め)長州
まだ白タイツ時代のホーガンと長州のシングル初対決です。これがプロレス・スーパースター列伝のホーガン編の"若手のパリパリ"のモデルになった試合です。
5月19日 宮城県 中新町民総合体育館
第3回MSGシリーズ決勝リーグ分勝負
アンドレ・ザ・ジャイアントvs長州力
ジャイアント(5分40秒、両者リングアウト)長州
このリーグ戦では勝ち星に恵まれなかった長州でしたがアンドレ戦では引き分けに持ち込む大健闘を見せました。
◎サマーファイトシリーズ
6月25日 北海道 函館市民体育館
NWA認定北米タッグ選手権 60分3本勝負
坂口征二、長州力vsバッド・ニュース・アレン、ゲシュタポ
①長州(9分31秒 リングアウト)アレン
②長州(3分36秒 カナディアン・バックブリーカー)ゲシュタポ
この防衛戦は2-0のストレート勝ちとなりましたが、その2勝をどちらも長州が取るという活躍ぶりでした。カナディアン・バックブリーカーは当時の長州の得意技のひとつでした。
◎サマーファイトシリーズ
7月10日 福島県 福島市体育館
長州力vsブレッド・ハート
長州(10分27秒 スコーピオン・デスロック)ハート
この試合もキッド戦と同じくシングル初対決にして最初で最後のシングルマッチでした。のちにシャープ・シューターを得意技としWWFでトップとなるブレッドのスコーピオン・デスロック初遭遇・・・深いです。
8月8日 ロサンゼルス オリンピック・オーデトリアム
NWA認定北米タッグ選手権 60分1本勝負
坂口征二、長州力vsザ・アサシン、ロン・スター
坂口(16分48秒 逆エビ固め)アサシン
王座を奪取したオリンピック・オーデトリアムでの防衛戦です。こちらは1本勝負で、危なげない試合内容だったようです。
◎闘魂シリーズ
10月30日 熊本県 熊本市体育館
NWA認定北米タッグ選手権 60分3本勝負
坂口征二、長州力vsタイガー・ジェット・シン、上田馬之助
①シン(9分47秒 コブラクロー)長州
②坂口組(3分19秒 反則勝ち)シン組
③長州(4分15秒 体固め)上田
ついにジェットシンと上田のコンビが北米タッグに挑戦です。反則ファイトの中、決勝の3本目を上田から取り勝利。10度目の防衛に成功しました。
1981年
◎新春黄金シリーズ
1月23日 高知県民体育館
NWA認定北米タッグ選手権 60分3本勝負
坂口征二、長州力vsザ・サモアンズ 1号、2号
①長州(9分40秒 スコーピオン・デスロック)1号
②1号(3分16秒 体固め)長州
③(3分29秒 両者リングアウト)
シカ・アノアイとアファ・アノアイのザ・サモアンズが北米タッグに挑戦。王者組はタイトル獲得後、初の引き分け防衛となりました。
タッグではフライング・ニードロップを得意としていた長州。北米タッグ戦でも威力を発揮していた
2月12日 東京 後楽園ホール
NWA認定北米タッグ選手権 60分3本勝負
坂口征二、長州力vsザ・サモアンズ1号、2号
①坂口組(9分50秒 リングアウト)サモアンズ
②長州(4分56秒)2号
前回引き分けとなったザ・サモアンズとの再戦は、今度は2-0のストレートで王座防衛となりました。
◎WWFビッグファイトシリーズ
3月20日 福島県 会津若松市体育館
NWA認定北米タッグ選手権 60分3本勝負
坂口征二、長州力vsタイガー・ジェット・シン、ドン・ムラコ
①(6分48秒 両者リングアウト)
②坂口(5分13秒 逆エビ固め)ムラコ
もはや長期政権となった王者組がジェットシン、ムラコという強力なチームを2-1で下し13度目の防衛に成功します。しかし4月23日の蔵前でIWGPに向け王座返上。タイトル封印となったため、これが最後の北米タッグ戦となりました。
ベルトは現在、闘魂ショップに飾られています。買い物がてら、もしベルトを目にしたときは、あ~こういう歴史があるベルトだったのか~と、少しでも思っていただけたならうれしいですね。
◎サマーファイトシリーズ
8月2日 東京 後楽園ホール
ローランド・ボックvs長州力
ボック(3分28秒 体固め)長州
長州のボックとの国内でのシングル初対決です。実は長州、このあと第2回MSGタッグ・リーグ戦のシリーズの12月4日、郡山市総合体育館でもう一度、シングルをやっているのでシングルで2回対戦していることになるんですが、74年のデビュー後、西ドイツのハノーバーへ海外武者修行に出ていた時代に、どうやらボックと試合をしているようなんですね。しかし手元に資料がないので詳しいことはわからず。ご存知の方おりましたらご教示お願いいたします。
◎闘魂シリーズ
10月11日 徳島県 阿南市スポーツセンター
アブドーラ・ザ・ブッチャーvs長州力
ブッチャー(0分53秒 体固め)長州
この81年に突如として新日本へ現れ、参戦してきたブッチャーとのシングル初対決です。移籍したばかりのブッチャーは絶好調にして、勢いがあまりにもありましたから、この試合タイムもいざ仕方なかったのかもしれませんね・・・
1982年
◎新春スーパーファイト 創立10周年記念興行 第5弾
1月1日 東京 後楽園ホール
長州力vsアニマル浜口
長州(8分46秒、両者リングアウト)浜口
こちらは猪木vsボックの元旦決戦の日に行われた長州と浜口の初対決ですが、これはテレビで見た記憶が残ってます。特にラリアートのシーンが鮮明です。
これです
まだ長州の打ち方じゃなく、ハンセンみたいに水平に打ち抜く形でした。で、調べると、これが長州のラリアート初公開と出てくるのがあるんですが、確かこれより前にもやってるはずなんですよ。相手とかまったく思い出せないんで申し訳ないんですが、出してるはずです。しかし映像もあり、はっきりと使用したのがわかるのはこれですね。この日が長州のプロレス人生をそのまま物語れるリキ・ラリアートの始まりと言ってもいいと思います。
◎第5回MSGシリーズ
3月6日 東京・大田区体育館
リーグ公式戦 30分1本勝負
長州力vs谷津嘉章
(11分52秒 両者リングアウト)
浜口戦からおよそ2ヶ月後、谷津嘉章との初対決が実現しています。新日マットでは、これが唯一の対決でした。
こうしてMSGシリーズが終わると、この年の4月25日から長州はメキシコ遠征へと出発します。
エル・トレオに登場した長州。なつかしい顔も見える
この遠征で長州は飛躍的進化を遂げます。まず手にしたのが新設されたUWAのタッグのタイトルです。
8月1日 メキシコ エル・トレオ・デ・クワトロ・カミノス
UWA世界タッグ初代王座決定戦 時間無制限3本勝負
長州力、グラン浜田vsエル・カネック、ベビーフェース
①長州(タイム不明 両者リングアウト)カネック
②浜田(タイム不明 フォール勝ち)フェース
浜田と組んで決定戦に望んだ長州が見事、王座獲得となりました。そして衝撃の日がこちらです。
8月6日 メキシコ アレナ・ネサワルコヨ
UWA世界ヘビー級選手権 時間無制限3本勝負
エル・カネックvs長州力
①カネック(タイム不明 ジャーマン・スープレックス・ホールド)長州
②長州(タイム不明 スコーピオン・デスロック)カネック
③長州(タイム不明 反則勝ち)カネック
UWA世界タッグ獲得から5日後、同ヘビー級王座へ挑戦した長州がカネックを撃破。見事に第7代王者となりました。これによりシングル、タッグと合わせUWA二冠を達成。快挙を成し遂げました。
二冠となった長州
この後、アンヘル・ブランコ、スコルピオを相手に2度の防衛をし、翌月9月26日にメキシコ エル・トレオ・デ・クワトロ・カミノスで行われたUWA世界ヘビー級選手権でカネックに敗れるまで約1ヶ月半、王座として君臨しました。
こうして半年の遠征を終え10月5日に帰国。10月8日、後楽園ホールでの闘魂シリーズ開幕戦で猪木、藤波と組みブッチャー、アレン、ジョーンズと凱旋マッチを行いますが・・・あとはみなさん、ご存知の通りです。
ここから革命が始まるんですね・・・
デビューから45年。本当にお疲れ様でした。ありがとう長州力。心から感謝を込めて、ありがとう!!