どうも!!流星仮面二世です!!
やれやれ、またかかってきたか・・・まったくこのテのは後を絶たないんだなぁ~。
ああ、失礼。え、何の話かって?いやぁ~あれですよ。電話勧誘販売とよばれるアレです。ほら、みなさんとこにもよく電話でかかってくるでしょ?
「こちら○○○○○○の代理店なんですが」
なんていうね、アレですよ。
"大手の会社の代理店"という言葉を聞いて、なんとなく納得してしまったり、あるいは逆に半信半疑になってしまっていたり・・・そんな、まだ電話の向こうの相手に対し、こちらの判断がよくできていない状態のときに、電話代やインターネット接続料などが安くなるという話をこれでもかと展開。それこそ相槌程度しか打たせず話を進めていっては、契約に結びつけてしまうというものです。
実は近年、この電話での会話中に契約の意思がない状態だったにもかかわらず、気がつくと契約していく話になっていたり、あるいは契約されたことになっていることが数多く発生。トラブルが多発化したため、事業者は氏名や名称、商品の種類、詳細を明示する、執拗に勧誘することの禁止、契約内容やクーリングオフの説明がある書面の交付などの項が特定商取引法において改正され、これらが義務付けられたほど、なんだそうです。
しかし、いやぁ~それにしても・・・今回はドコモコンサルティングセンターというところからかかってきたんですが、驚いたことに自宅ではなく直接スマホにかかってきましてね。これはちょっと驚きました。やはり知らない番号は出ないのがいいのかもしれないなぁ。
しかし、どうしても出なくてはならない電話もありましてね・・・そう、会社で持たされてる電話なんですが、これに知らない番号から判断に困るときありますね。
会社の電話はだいたい話す相手は決まってるものなんですけど、初めての相手とか急な問い合わせの場合には当然番号が登録されてない人からもかかってくるので、知らない番号にも出るしかありません。で、そうやってると忘れた頃にかかってくるのが「投資しませんか?」なんていう「不動産販売業者の勧誘」というやつなんですよ。
この勧誘は自宅とちがい勤務先をメインに電話をしてくるのがそもそもの手法らしいんですが、これがリアル。それこそ勤務時間の真っ只中に堂々、電話がかかってきては一方的に話をし出すんです。その頻度は、この10年間で平均したなら年に1、2回くらいのになるでしょうか。内容は投資用マンション、アパートなどの物件を進めるもので、これがなかなか厄介。話が長く、とにかく電話を切らせないようにする性質が見られます。それこそ感情たっぷりに
「お願いします!!もう少しお話を!!」
なんて、お涙頂戴。お情けで迫るヤツもいれば
「勤務中お電話無理でしたら、お仕事何時に終わりますか?あなたの会社の門のところで待ってますので!!なんとか!!」
なんていう鬼気迫るヤツもいました。こういう会社だから、おそらくノルマ達成を強いられていて、会社から散々な目に合わされるんでしょうね。そう思うと、なんだか気の毒な気もします。
と、まあ昨今はこんな勧誘電話が多くなりましたけど・・・内容こそちがえど、昔からこういうのは存在していましたよね。
実はボクには、勧誘電話がかかってくるたびに思い出す出来事があります。
それはまだウチが黒電話だった頃・・・
今からざっと30年前。高校を卒業し、社会人となり1年が過ぎた平成4年。スマホどころか、まだ携帯電話もネットもなかった19歳の頃です。
この頃になるとボクのところにいろんなところから、それはそれは勧誘電話がかかってくるようになりました。
まず多かったのが、資格を取るための教材販売で"資格商法業者"からの勧誘というものでした。
売り込まれる資格は、なぜか行政書士(※「行政書士法」に基づく国家資格で、行政に関する書類、法律的な権利義務、事実証明に関する書類の作成や手続を行ったり、その手続に関する相談を行ったりすることができるもの。合格率は10パーセント台とかなりの難易度を誇る。その他、興味がある方は調べてみてね)のがほとんで、実にいろいろな事業所から(と言っても架空の会社でしょうけど)それこそ自宅、職場を問わないほど頻繁にかかってきていました。
酸いも甘いもわからないこの年齢の頃は、勧誘電話なんて存在をまだよく知りませんでしたから・・・電話口ではどう対応していいかわからず、真剣に話を聞いてしまったりすることも多くありました。なので、その様子を見ていた当時いた会社の係長からは
「今日もか?一体なんの電話だ?サラ金か?借金あるなら相談乗るぞ」
なんて、変な誤解を招いてしまうこともありました。
で、その頃というのは、この資格の勧誘の電話とはちがうものもよくかかってきていました。それは会社にはなく、自宅のみにかかってくるもので・・・あなたが選ばれましたとか、当たりましたとか言って会う約束を取りつけ、そこから商品などを購入させるという、いわゆる「アポイントメント商法」というやつでした。
しかしボクのところに当時かかってきた電話の内容は、こうした当選やプレゼントものではなく
「若い人を対象にお声をかけているんですが、あなたも対象になりますので来ませんか?」
というニュアンスのものがほとんどでした。
若い人を対象にお声をかけている。だからあなたも対象。なんという安易さだろう。いくら若くて世の中のことよくわかってないにしても、知らない人が唐突にこんな電話してきたら不審に思うに決まっているじゃないか。そんなことで相手が動くと思ってるんだろうか?
ところが、当時はこういった勧誘にも引っ掛かってしまう人がいました。それはまさしくレトリック。相手側の電話口での言葉巧みな対応にありました。
相手は明るい雰囲気を全面に出しながら、好感を持たせつつ話を進めていきます。しかし一見、会話しているように感じますが、実はこちらには話をさせないしゃべり方で主導権を握り進行していき、やがて会う約束へと取りつけていってしまうのです。
勧誘は世の中では我々の"敵"となるものですが、敵ながら、この相手をコントロールするしゃべりの技術というのは唸るものがあります。これだけのことができるのに、なぜこれをいい方に使わないのかなぁ?と、今でも思うばかりです。
さて、そんなテレフォン・アポイントメンターですが、やはり対象相手には異性が効果的のようで、だいたいは女性がしてきていました。ボクは電話だけでしたが、昔ボクがいた会社には相手が女性ということで気分がよくなり、つい話に乗ってしまい実際に行ってしまったことのある人(つまり引っ掛かってしまった人)がいました。その人から話を聞いたことがあります。
その人は会う約束をして、後日待ち合わせの場所に行くと、その電話の女性の他にちがう人がもうひとりいて、この方はですね~と、唐突に紹介されたそうです。そして、ここでは何なんでちょっと落ち着いた場所で話をしましょう、となったそうです。移動すると、そこで最初に挨拶代わりに何か貰えたらしいんですね。しかしそこから話は始まり、言葉巧みに高額商品の購買契約へと誘導がはじまり、そっち方面に向かわされてしまった・・・ということです。その人は断ったらわりとすぐ解放されたそうですが、ここからしつこく迫られて厄介な展開になることが、この勧誘には多かったみたいです。
で、その日も・・・そんなアポイントメント式の勧誘からボクのところに電話がかかってきました。
先ほども説明したように、現在では勧誘側もまず事業所名を名乗らないといけない部分も出てきたわけですが、当時は相手が自分の名前すら名乗らないのがほとんどでした。
なので資格の勧誘もこのアポイントメント式の勧誘も電話口、開口一番放たれる言葉は
「○○さんのお宅ですか?○○さんいらっしゃいますでしょうか?」
という、相手に向かってまっしぐらなものでした。
この頃は、このテの電話が本当に何度もかかってきていたので、こんな受け答えの電話のときは、そっち方面と見抜くことができるようになっていました。
相手が勧誘とわかれば早々お断りしてもいいし「今いないです」と言ってもよかったんですが・・・しかしこの日の電話の向こうが女性ではなく、珍しく男性だったので妙に気になってしまったのです。
しかもこの男性、露口茂(太陽にほえろ!の山さん)そっくりな声と語り口だったのです。
ボクはこの事実に興味を押さえられず・・・
「○○は自分ですが」
と、つい答えてしまいました。
すると山さんは落ち着いた態度で
「○○さんですか。私は山村(仮名)と申しますが・・・」
と、名乗り、最近このあたりに若い人を対象にした云々という、この勧誘でよくある話をしてきました。
「おいくつですか?19歳ですか。ボクよりかなりお若いですが、お声かけてるのは同じくらいの方でしてね。みなさん、たくさんいらっしゃいますよ」
いつもなら、妙なテンションの女性テレフォン・アポイントメンターの声に「ありきたりなこと言いやがって~」と鼻で笑ってしまうところなんですが、推測するに10~15歳くらいは年上の山さん。紳士的で親しみの湧くその声に、思わず「そうなんですか」と、聞き入ってしまいます。
「本当にね、○○さんくらいの方、多いですよ。男性も女性も来ますよ。どうですか?よかったら一度、来ませんか」
胡散臭いのは重々承知。しかし声が、あの"落としの山さん"だと思うと・・・なんかこう、どんどん断りづらくなっていくのです。
(注:太陽にほえろ!は再放送で夕方見てたから知ってるんですからね)
断りづらい・・・これはやばい。わかっているのに流されてしまっている。ボクは今、相手に乗ってきてしまっているんだ。あまりいい状況じゃない。ホント、もうそろそろ断って電話切ろう。と思い始めた頃でした。
「ご趣味なんかは?何かあるんですか?」
と、山さんは聞いてきました。
ボクは物腰柔らかいこの言葉に思わず
「あ、プロレスが・・・」
と、言ってしまったんです。
趣味が共通など、話を合わせて相手と同調、共感し、親近感を持たせる。こうすることで相手との距離を縮め交渉をスムーズにすると共に"断りづらい状況"を作るというこれは、交渉術などでもよく使われる心理的な手法です。
だから相手はこちらの趣味が何であれ、共感と親近感を持たせようと知ってる知識総動員で小さく僅かなことも「あー○○が趣味ですか」と話を合わせてくるのです。おそらく山さんもそれを・・・と、思うが早く、返ってきた言葉は意外なものでした。
「え!?本当ですか!?」
さっきまでの会話とは明らかに声のトーンもしゃべり口調も変わった山さん。そう言うと間髪入れず続けました。
「あれですか?どこの~団体が好きなんですか?」
誰のファンですか?ではなく、どこの団体が好きですか?とは・・・これは話を合わせている感じじゃない。何か団体でプロレスにこだわりがあるんだ。ボクはそう思い、とりあえず
「いろいろ好きですよ」
と濁しました。
もしかしたら本当にプロレス好きな人かもしれない。話してみたい。しかし相手は、あくまで勧誘が目的で電話してきているアポイントメントのプロです。もうこれ以上、油断はできません。プロレスという言葉には後ろ髪を引かれますが、このまま話していたらまちがいなく流される。そう思い、もう断って切ろうとしました。
ですが、このあと山さんから思いもよらぬ言葉が発せられたのです。
「いえね、私は新日本が好きだったんですよ。昔、藤波と長州の試合を観に行きましてね~」
なっ!?藤波と、長州ぅ!?
もはや勧誘ということを完全に忘れプロレスを切り出した山さん。そのあまりの唐突さとテンション、そして勧誘電話の向こうから聞こえてきた"藤波"と"長州"という絶対にあり得ないワードに、ボクはあることを考え込んでしまい、少しの間、言葉を発することを忘れてしまいました。
「もしもし!?○○さん!?」
つい、この間だ・・・
そう、ときは1992年。この年、1月4日に東京ドームで行われた超戦士IN闘強導夢でのIWGPヘビー級とグレーテスト18クラブの両タイトルをかけた藤波vs長州戦をボクは生観戦して、このときはそれからまだ日も経っていないときだったのです。そのため、かつての藤波vs長州戦をビデオで見たり、本で読んだばかりのときでした。つまり82年10月、あの「噛ませ犬」に単を発する名勝負数え歌。そして87年に新日本へ復帰し再び相まみえると、世代抗争を経て、やがてIWGPを軸に飛龍革命へと続いていったふたりの対決の数々が、鮮明に再確認されていた直後だったのです。
「あの~・・・どうしました!?」
ひと通り頭の中が整理でき、我に返ったボクは、そういうことなら!!と、スイッチを入れました。
「それは、いつの藤波vs長州ですか!!」
しばらくの沈黙のあとトーンを変え、いきなり質問したボクに一瞬たじろいだ山さんでしたが
「え?ええ・・・ああ、何回か行きましたが、よく覚えているのは長州がフォール勝ちしたときの蔵前ですかね。あれはよかったですね」
と、答えました。
く、蔵前!?長州がフォール勝ちしたときの蔵前だって!?それは83年4月3日の蔵前じゃないか!!
ボク「長州がリキ・ラリアートでなぎ倒して頭を押さえながらフォールしたやつでしょ!!あれを生で観たんっ、んですかっー!!」
山さん「そうです!!長州がWWFインターヘビー初栄冠しましてね~。まだ浜口が維新軍入りする前でしたよね。試合後、マサ斎藤と抱き合いましてね」
ボク「すごい!!あれを生で・・・いいですね~!!そういえば浜口といえば、この日のメインは猪木とはぐれ国際軍団。ラッシャー木村とのシングルでしたね」
山さん「そうです!!試合後、浜口がマイクアピールしましてね~。でも、あれは浜口、国際軍団最後の頃でしたね。あと小林邦昭とダイナマイト・キッドがNWA世界ジュニアヘビー級王座決定戦やりましたね」
ボク「やりました!!ちなみにこのときのテレビはスペシャルだったんですよね。キッドが試合前にインタビューに出てきたんですよ!!ミカンみたいなの食べながら!!」
山さん「そうでしたね!!インタビューの女の子、ちょっと怖がってましたね!!お詳しいですね!!」
こうしてその後、猪木とタイガー・ジェット・シン、スタン・ハンセンとのNWF戦。タイガーマスク、ダイナマイト・キッド、小林邦昭、ブラック・タイガーのジュニアヘビー級大戦争。IWGP、ハルク・ホーガン。新日正規軍vs維新軍と・・・電話は80年代の新日本プロレスを山さんが語りつくすものとなりました。
プロレスの知識はもちろん、新日黄金期を語る山さんの熱の入れ具合。その様は、あのセルジューク朝期ペルシアの学者、詩人であるウマル・ハイヤームの「ルバイヤート」の一説にある『戸惑うわれらをのせてめぐる宇宙は、たとえてみれば幻の走馬燈。日の燈火を中にしてめぐるは空の輪台。われらは、その上を走りすぎる影絵のようだ』の言葉のように、かつての思い出の数々がまさに走馬灯のように甦る、壮大なスペクタクルと化していました。
しかし・・・30分くらい話したでしょうか?ある程度したところで山さんは、急に改まり
「あの、実はですね・・・まあ今回はこうしたお誘いということでですね、お電話したわけだったんですが、こういう電話は(対象相手にかけるのは)1回だけ、なんですね。1回で話す時間もだいたい決まっているんです。ということで、このあたりでね、そろそろ・・・ということになります」
と、言ってきました。
あまりのプロレス話に忘れてしまっていましたが、そうだ。これはそもそも勧誘電話で、山さんはおれを引っ張り出すアポイントメンターだったんだ。その言葉で、それを思い出しました。
しかし、こういう電話は1回とか、話す時間とか、このあたりでそろそろ、とは・・・そう、それは断って電話を切ろうとしても執拗(しつよう)に攻める、それこそ受話器を置く寸前までしゃべり続けるような、これまでの勧誘電話にはあり得なかった
"勧誘する側が電話を終わりにする"
という信じがたいものでした。
短い間ではありましたが打ち解けて話をしたボクと山さん。だから
、こんな普通ではあり得ない幕引きをしようとしているのか・・・
なら、山さんなら教えてくれるのではないか?と咄嗟に思い、あと少し、いいですか?聞きたいことがありまして・・・とボクは言ってみました。
「少しなら大丈夫ですよ。何ですか?」
その言葉に、ボクはためらうことなく質問をぶつけました。それは気になっていた、この勧誘電話のことでした。
「今年に入ってから、自宅、会社と、こういう電話や資格取りませんかって電話がすごく多いんです。急にです。なぜなんでしょうか?」
と・・・
すると山さんは
「一度勧誘に引っ掛かるとリストに載ってしまい、それが業者間で動くので、動くたびかかってくるようになります。勧誘に引っ掛かかる人は断るのが苦手、飲まれやすいんで、また引っ掛かかることありますからターゲットにされるんですよ」
と教えてくれました。
なんということだ・・・一度被害にあったが最後。被害者は"逆・常習犯"にさせられて、ずっと勧誘され続けてしまうのか・・・
しかし引っ掛かったことがない、身に覚えがないボクのところに、なぜこんなにも勧誘電話が?
「何かで情報が漏れたため、あなたの情報がリストアップされてしまっているからです。情報は勧誘に引っ掛かった人のばかりじゃないですからね。学校のアルバムとかね・・・そのへんはどうにでもなっちゃいますからね」
そうか。当時の卒業アルバムは全員の住所が記載されていたから、人数の多い高校のとかなら1冊あればとんでもない情報量になる。そういったものから流れ、いつの間にか悪徳商法の勧誘リストに名を連ねてしまっていたということだったんだろう。なんと恐ろしいことだろう。
でも、ということは今後もかかってくるということなんですか?
「そうですね。ただ・・・こういう勧誘は本人と繋がらなければ何度かかけけるってありますが、本人と繋がれば話すのは1回なんです。断られても、うまくいってもね。なので・・・」
なので?
「とにかく、こういう電話がかかってきたときはハッキリ断って、すぐ電話を切ってください」
な!?なんだって!?
山さんから発せられた「ハッキリ断って、すぐ電話を切って」という勧誘側においてのあるまじき発言に、ボクはキツネに摘ままれながら鳩が豆鉄砲を食らったような顔になってしまいました。
しかし山さんは話を続けます。
「万が一、会う約束をしてしまっても絶対に行かないようにしてください。その日は「来ないのか?」的な電話がかかってきますが、絶対出ないことです。大丈夫です。ただ会う約束しただけで、何か契約したわけじゃないですからね。とにかく、関わらないでください」
他にも山さんは、この頃はまだあまり知られてなかったクーリングオフの話や、教材を買ってしまったときのクーリングオフなしでの撃退法なども教えてくれました。
そして最後に念を押すように
「いいですね。ハッキリ断る。そして電話をすぐ切る。ですよ。では・・・楽しかったです。ありがとう」
と言葉を残し、そそくさと電話を切りました。
電話が終わったあと、少しボーッとして・・・そして考えていました。
あのプロレスの知識。そしてプロレスの話をしていたときの純粋さ、うれしそうな声。山さんは、つい何年前かまでは心ときめかせプロレスを見ていた、ボクと同じプロレスファンだったはずだ。それが・・・なぜ悪徳商法に分類されてしまう、こんな仕事をするようになってしまったんだろうか?
悪徳商法は、まさしく"悪"です。人の不幸は蜜の味。他人くたばれ我繁盛。相手の気持ちなんか微塵(みじん)も考えない、いやそもそもそんな設定がない人間。自分がよければそれでいい。自分の欲のことしか頭にない人間の集まりです。
そんな人間が、こういうことを生業とするのは理解はできます。でも、山さんは・・・はたして生粋な"悪"を持った"悪党"だったんだろうか?
あの頃は、相手の電話番号も表示されなければ名前すらよく名乗らない。名乗られたところで調べようもないという、悪徳商法に関する情報が簡単に得られない、あまりに情報がない時代・・・困っても不安になっても、すぐに解決へと向かえない、困難な時代でした。
そんな時代に、タブーなはずの電話勧誘の裏側や「ハッキリ断れ、電話をすぐ切れ」と、つまり「引っ掛かるんじゃないぞ」と教えてくれた山さん。
あの日以来ボクは、ずっと山さんの言ったことを守り続けています。だから勧誘電話がかかってくると、山さんを思い出すんです。
あれから30年・・・こんな仕組みの仕事が何十年も続くはずはありません。だから、あのあと山さんはどうなったのかな?と考えるときがあります。山さん、ちゃんとした仕事に就いて、好きだった80年代の新日本を見れてればいいなぁ・・・そう思い、そう願っています。